薄膜トランジスタ事件
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H18.8.31 知財高裁 平成17年(行ケ)10767
判決のポイント
請求項の文言上,ニッケルの濃度が上限値を下回る時にニッケルの除去工程を行う記載はなく,ニッケルの濃度範囲と,ニッケルの除去工程を行うことにより上限値を上回らないこととが区別して記載されている以上,下限値とニッケルの除去工程とは直接関連しないとされた。
参照条文
旧特許法17条2項
Key Word
新規事項の追加
シワ形成抑制剤事件
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H18.11.29 知財高裁 平成18年(行ケ)10227
判決のポイント
シワ形成抑制剤の発明が,引用文献に記載された同一有効成分からなる美白化粧料組成物の発明と同一であり,新規性がないとした審決が取り消された。
参照条文
特許法29条1項3号
Key Word
用途発明,新規性の判断
紙葉類識別装置事件
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H18.6.29 知財高裁 平成17年(行ケ)10490
判決のポイント
進歩性の判断において,互いに近接した技術分野であっても,一方の技術分野に属する装置を他方の技術分野に属する装置に置き換えることが容易であるというためには,それなりの動機付けが必要であると判示した。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
進歩性,動機付け,設計事項
遊戯台事件
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H18.6.21 知財高裁 平成17年(行ケ)10514
判決のポイント
引用発明を本件発明のように変更すれば,引用発明の本質的部分に反することになるから本件発明は当業者が容易に想到し得るものではないとして,進歩性が認められた。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
周知技術の認定,引用発明の本質的部分
生理用ナプキン事件
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H18.9.20 知財高裁 平成17年(行ケ)10846
判決のポイント
構成要件Bの「中高部」の解釈につき,特許庁は,「製造時」に限定的に解釈して進歩性を肯定したが,裁判所は,「使用時」も含めて限定的に解釈しなかった。その結果,引用考案1,2のいずれも,構成要件Bの「中高部」に相当する共通の構造を有し,裁判所は,進歩性を否定した。
参照条文
実用新案法3条2項
Key Word
用語の解釈,進歩性,動機付け,阻害要因
反射偏光子事件
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H19.1.30 知財高裁 平成18年(行ケ)10138
判決のポイント
開示された発明として,引用発明の必須の構成要件の一部を除いた発明を認定した審決の判断は,誤りであるとされた。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
引用発明の認定,進歩性
生物医学的アッセイの背景蛍光マスキング事件
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H18.12.25 知財高裁 平成17年(行ケ)10841
判決のポイント
無効審判の審決における本件発明と引用発明との一致点・相違点の認定判断に誤りがあるとして,請求不成立の審決が取り消された。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
進歩性,一致点の認定の誤り,新規事項
低騒音型ルーバ事件
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H18.6.28 知財高裁 平成17年(行ケ)10702
判決のポイント
複数の構成要件の組み合わせからなる発明において,構成要件毎に効果を記載していなくても,構成要件の組み合わせによる効果が記載されていれば,それらの構成の技術的意義が不明であるとは言えないと認定された。
参照条文
特許法29条の2
Key Word
効果,技術的意義,数値の臨界的意義
眼鏡レンズの供給システム事件
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H19.1.31 知財高裁 平成18年(行ケ)10124
判決のポイント
発明の前提が重視され,引用発明とは同一ではなく,進歩性も具備するとされた。また,分割出願に係る発明が,原出願の明細書に記載された構成要素のうち同明細書に記載のない組み合わせのものであっても,同明細書にはない格別の作用効果を奏するものでなければ,分割要件は満たすとされた。
参照条文
特許法29条2項 特許法29条の2 特許法44条1項
Key Word
発明の同一性,分割要件,発明の前提,周知技術
エチレン-α-オレフィン共重合体事件
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H19.2.21 知財高裁 平成17年(行ケ)10661
判決のポイント
特許請求の範囲において「平均粒径」を数値限定しているが,明細書には「平均粒径」の意味や測定方法が記載されていない場合に,特許請求の範囲の記載及び明細書の記載の検討を抜きにしては,「平均粒径」の語の技術的意義が特定されているか否かを決することはできない,とされた。
参照条文
旧特許法36条4項 旧特許法36条5項2号 旧特許法36条6項
Key Word
記載不備,技術的意義,測定方法,技術常識,数値限定
レジスト用基材樹脂事件
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H18.4.27 知財高裁 平成17年(行ケ)10623
判決のポイント
原出願の明細書には(a)成分と(b)成分とを共に使用することが記載されているが,(a)成分について単独で使用することは,何ら示唆さえされておらずかつ原出願の明細書の記載から自明な事項であるともいえないから,本件出願は分割出願の要件を充足していないとされた。
参照条文
特許法44条1項 特許法29条2項
Key Word
分割出願の適法性,原出願の明細書
番組サーチ装置事件
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H19.1.25 知財高裁 平成18年(行ケ)10070
判決のポイント
訂正は,発明内容をより具体的にしたもので,発明目的も同じなので,実質上特許請求の範囲を変更するものでない。
参照条文
旧特許法126条2項 特許法165条
Key Word
訂正,特許請求の範囲の変更
おしゃれ増毛装具事件
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H18.7.11 知財高裁 平成17年(行ケ)10264
判決のポイント
審決取消訴訟において,審決で示された主たる引用例と従たる引用例とを入れ替えて進歩性を判断することが認められた。
参照条文
特許法29条2項 特許法126条5項
Key Word
進歩性,主と従の引用例の入れ替え,阻害要因
情報記憶カード事件
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H18.6.28 知財高裁 平成17年(行ケ)10683
判決のポイント
差し戻し後の審判で再び進歩性なしとする審決が,第1次判決の拘束力に違反するものとされた。
参照条文
行政事件訴訟法33条1項 準特許法50条
Key Word
判決の拘束力,意見を述べる機会
金属製ブラインドのルーバー事件
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H18.9.20 知財高裁 平成18年(行ケ)10088
判決のポイント
引用された意匠に係る物品と出願された意匠の意匠に係る物品の機能・構造等が異なる場合には,同種の物品といえないため,公然知られた形状等を採用して当業者が容易に創作できたものとはいえない。
参照条文
意匠法3条2項
Key Word
当業者,物品分野,創作容易性
ひよ子事件
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H18.11.29 知財高裁 平成17年(行ケ)10673
判決のポイント
ひよ子の立体的形状に係る立体商標は,全国的な周知性を獲得するまでには至っていないとされ,商標法3条2項の要件を満たさないと判断された。
参照条文
商標法3条1項3号 商標法3条2項
Key Word
立体商標,特別顕著性,周知性,著名性
KYOKUSHIN事件
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H18.12.26 東京高裁 平成17年(行ケ)10032
判決のポイント
請求人,対象の登録番号が相違する場合は,事案の背景が共通しても一事不再理とはならないとされた。創始者の没後分裂した流派の一派の代表が行った商標の登録は,公序良俗に反し無効であるとされた。
参照条文
準特許法167条 商標法4条1項7号
Key Word
一事不再理,公序良俗
WHITE FLOWER事件
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H18.5.25 知財高裁 平成17年(行ケ)10817
判決のポイント
登録商標を付した商品を,個人輸入により日本に居住する一般消費者が購入した事実をもって,商品に標章を付したものを譲渡する行為に該当するとして,商標の使用を認めた審決が,日本国内における譲渡には該当しないとして,取り消された。
参照条文
商標法50条1項 商標法50条2項 商標法2条3項2号
Key Word
不使用,個人輸入,譲渡行為,正当な理由
EVEPAIN事件
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H19.2.28 知財高裁 平成18年(行ケ)10375
判決のポイント
審決は,片仮名の「イブペイン」を欧文字の「EVEPAIN」と変形使用しても,原告の著名商標「EVE」とは外観・称呼・観念が異なり非類似であり,出所の混同のおそれなしと認定したが,本判決では,「EVE」と「PAIN」に分離できるとされ,両者は類似すると判断された。
参照条文
商標法53条1項
Key Word
使用権者による不正使用,商標の類似,出所の混同
多頁面付け方法事件
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H18.10.30 東京地裁 平成17年(ワ)15455
判決のポイント
特許請求の範囲の解釈に当たって,発明の作用効果と,審査段階における原告の意見書での主張が参酌されて,被告製品は特許発明の構成要件を充足しないと判断された。
参照条文
特許法70条2項
Key Word
作用効果の参酌,出願経過の参酌
溶融金属供給用容器事件
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H19.3.23 東京地裁 平成16年(ワ)24626
判決のポイント
技術常識に基づいて通常は想定し難い構成は,容易想到であるということはできないと判断され,被告製品が先使用権成立の基礎となった図面から設計変更されている場合でも特許請求の範囲内の設計変更であれば先使用権が成立すると判断された。
参照条文
特許法29条2項 特許法79条
Key Word
先使用権,成立範囲,設計変更
エレベータ装置事件
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H18.12.26 東京地裁 平成17年(ワ)12817
判決のポイント
原告の有する2件の特許権に基づき,被告装置について差止め及び損害賠償を求めた事案において,原告による各訂正審判が確定していない状況の下で,各発明は引用発明の組み合わせによる容易想到であり,訂正審判によって無効理由は解消されないとされた。
参照条文
特許法29条2項 特許法70条 特許法104条の3 1項 特許法126条
Key Word
技術的範囲,無効の抗弁,訂正審判
内服用吸着剤の分包包装体事件
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H18.5.25 東京地裁 平成17年(ワ)785
判決のポイント
本件発明は,原因の解明にもその解決手段にも困難性はなく,進歩性は認められなかった。また,原告製品の包装形態は,医薬品が名称等で識別されることから,周知商品等表示に該当しないとされた。
参照条文
特許法29条2項 特許法104条の3 1項 不正競争防止法2条1項1号
Key Word
進歩性,医薬品,包装,周知商品等表示
フィルム付着方法事件
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H18.12.26 東京地裁 平成18年(ワ)8811
判決のポイント
米国での一部継続出願を基礎として我が国に優先権主張出願したが,米国での最初の出願から1年を経過した後の出願であるので,優先権主張が認められず,本件発明は新規性がなく,無効にされるべきであり,特許権を行使することはできないと判断された。
参照条文
パリ条約4条B パリ条約4条C パリ条約4条H 特許法104条の3 特許法29条1項3号
Key Word
パリ優先権,最初の出願,一部継続出願,新規性,権利濫用
二輪車の取り外し可能ハンドル事件
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H18.4.27 大阪地裁 平成15年(ワ)13028
判決のポイント
実用新案技術評価書を提示する警告の前に,相手方が権利の存在を知っていても,相手方に過失は認められず,権利行使はできない。
参照条文
実用新案26条 実用新案29条1項 実用新案29条の2
Key Word
過失の推定,実用新案技術評価書,警告
ヨーデル事件
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H18.4.18 大阪地裁 平成15年(ワ)11661
判決のポイント
「健康補助食品」は「薬剤」と類似する商品であるとされ,和解金の支払いは清算条項のない合意であっても商標権侵害に係る損害賠償であるとされた。
参照条文
商標法2条3項8号 商標法37条1号 商標法6条3項 商標法38条3項
Key Word
商標的使用,商品の類似,和解金,清算条項,錯誤無効
ショルダー・ヒップバック兼用鞄事件
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H18.4.26 東京地裁 平成16年(ワ)9869
判決のポイント
不競法2条1項3号によって,差止め又は損害賠償を請求できる者は,模倣されたと主張する形態にかかる商品を自ら開発・商品化して市場においたものに限られる。
参照条文
不正競争防止法2条1項3号
Key Word
他人の商品
液晶モジュール事件
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H18.3.24 東京地裁 平成17年(ワ)3089
判決のポイント
知的財産権の行使が空振りに終わった場合,訴訟を提起する行為自体も虚偽事実の告知に相当し,不正競争行為とされる場合がある。
参照条文
不正競争防止法4条1項14号
Key Word
虚偽事実の流布・告知,仮処分
法律解説書事件
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H18.3.15 東京高裁 平成17年(ネ)10095
判決のポイント
被控訴人文献の控訴人文献への依拠性が認められたが,同一部分の著作物性が否定されたため,著作権侵害は認められなかった。一般的な不法行為として損害賠償のみ認められた。
参照条文
著作権法2条1項1号 著作権法21条 著作権法28条
Key Word
依拠性,著作物性,不法行為
振動制御システムのプログラム事件
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H18.8.31 知財高裁 平成17年(ネ)10070
判決のポイント
本件プログラムについて,翻案権は,契約によって控訴人に帰属し,翻案権の留保は,両当事者間の交渉経過からすると被控訴人には認められず,また,契約解消による継続的な関係の解消は,将来に向かってのみ効力を有するので,翻案権の復帰は認められないと判断された。
参照条文
著作権法15条 著作権法17条 著作権法27条 著作権法28条 著作権法61条2項
Key Word
翻案権,翻案権の留保,翻案権の復帰
教科書副教材事件
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H18.3.31 東京地裁 平成15年(ワ)29709
判決のポイント
教科書に掲載された著作物を用いて作成したテストは「試験又は検定の問題」(著作権法36条1項)に該当せず,また,原著作物から改変された部分を用いた場合には「やむを得ないと認められる改変」(著作権法20条2項4号)にも該当しないため,著作権者の許諾なき使用はそれぞれ複製権,同一性保持権の侵害になる。
参照条文
著作権法36条1項 著作権法20条2項4号
Key Word
試験又は検定の問題,複製権,同一性保持権
THE MOOB事件
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H19.1.19 東京地裁 平成18年(ワ)1769
H19.1.19 東京地裁 平成18年(ワ)12662
判決のポイント
平成9年法律第86号により創設された送信可能化権につき,この改正法律の施行前の契約において,この送信可能化権が具体的に定められていなくとも,契約による包括的な譲渡がある場合には,上記改正法が施行された平成10年1月1日の時点で譲受人は送信可能化権を取得する,と認められた。
参照条文
著作権法2条1項9号の5 著作権法92条の2 1項 著作権法96条の2
Key Word
送信可能化権,著作権法の改正
まねきTV事件
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H18.8.4 東京地裁 平成18年(ヨ)22022
判決のポイント
インターネット回線を通じたテレビ番組の視聴を可能にする機器を利用者から預託されている事業者は,当該機器が個々の利用者自身に対して1対1で独立に機能するものであり,事業者のサービスが機器の設置保管電源の提供等に限定されている場合には,テレビ番組の送信可能化行為の主体とはいえないとされた。
参照条文
著作権法98条 著作権法99条 著作権法99条の2 著作権法100条
Key Word
テレビ番組送信可能化
シロスタゾール職務発明事件
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H18.11.21 知財高裁 平成17年(ネ)10125
(原審H17.11.16 東京地裁 平成15年(ワ)29080)
判決のポイント
実績補償に係る相当対価の支払時期は,職務規則から,特許発明が実施された時であると判断された。用途の表示がなくとも,具体的な状況下でその用途に使用されるものとして販売されていれば,用途発明の実施であるとされた。
参照条文
旧特許法35条3項
Key Word
職務発明,相当の対価,実績補償,消滅時効,用途発明
透明塗膜組成物職務発明事件
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H18.9.12 東京地裁 平成16年(ワ)26283
判決のポイント
真の発明者(共同発明者)であるためには,技術的思想の創作行為に現実に加担した必要があるとした。また,対価の額を,独占的に実施することにより得られた超過実施分についての実施料,被告の貢献度,及び共同発明者間の貢献度を考慮して算定した。
参照条文
特許法35条 特許法38条
Key Word
職務発明,相当の対価,発明者の認定,共同発明者
ガラス多孔体冒認出願事件
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H19.3.23 東京地裁 平成17年(ワ)8359
H19.3.23 東京地裁 平成17年(ワ)13753
判決のポイント
冒認出願について損害賠償を請求したが,不法行為法上の違法性を有しないとされ,発明者名誉権及び名誉感情の侵害に関する慰謝料は認められ,学術賞受賞による自己の名誉感情の侵害に関しては理由がないとされた。
参照条文
特許法39条6項 特許法123条1項6号
Key Word
冒認出願,不法行為,発明者名誉権
側溝用ブロック再審請求事件
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H18.12.19 東京高裁 平成18年(行ケ)10397
判決のポイント
無効審決の当事者ではない者が,当該無効審判で争った両当事者に対し,審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって審決をさせたこと等を理由として請求した再審請求が認められなかった。
参照条文
意匠法54条1項 準特許法173条1項 準特許法173条2項 行政事件訴訟法7条 民事訴訟法40条1項
Key Word
再審,共謀,詐害審決,固有必要的共同訴訟
行政文書情報公開事件
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H19.1.26 東京地裁 平成15年(行ウ)467
判決のポイント
医薬品輸入販売の承認申請添付の情報が不開示とされた。
参照条文
情報公開法5条
Key Word
営業秘密,情報公開法,不開示情報
ポイント管理装置事件
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H18.9.26 知財高裁 平成17年(行ケ)10698
判決のポイント
審判請求時の複数の補正は各補正を独立したものとして扱う。コンピュータによる処理が具体的に実現されていない場合,「自然法則を利用した技術的思想の創作」とは認められない。限定的減縮か否かは実質的に判断される。
参照条文
特許法29条1項柱書 特許法17条の2 3項 特許法17条の2 4項2号 特許法36条6項2号
Key Word
限定的減縮,ソフトウェア関連発明,発明の成立性
走査光学系事件
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H18.9.26 知財高裁 平成17年(行ケ)10575
判決のポイント
特許異議申立てで新規性及び進歩性を否定した特許取消決定を引用発明の認定に誤りがあるとして取り消した。
参照条文
特許法29条1項3号 特許法29条2項 特許法113条1号
Key Word
引用発明の認定,発明の同一性
ティッシュペーパー収納箱事件
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H18.9.28 知財高裁 平成18年(行ケ)10053
判決のポイント
利用分野や技術的課題が共通し,条件によって同じ構成になる場合でも,引用発明に作用効果の記載も示唆もないときは,当該構成の結果としてもたらされる作用効果の技術的思想はなく発明が記載されているとはいえない。技術的思想の前提もなく試行錯誤することは,設計事項には当たらない。
参照条文
特許法29条2項 特許法70条2項
Key Word
進歩性,技術的思想,動機付け,設計事項,周知技術
記録媒体用ディスクの収容ケース事件
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H19.3.8 知財高裁 平成18年(行ケ)10277
判決のポイント
特許請求の範囲に用いられた一般的でない用語「当接」について,この用語を構成する各文字から意味を理解することができ,明細書の記載を参酌して特許請求の範囲の記載から理解することができる意味を超えて限定的に解釈することは相当ではないと認定された。
参照条文
特許法29条2項 特許法70条
Key Word
進歩性,技術的範囲
トレーリングアーム式リアサスペンション事件
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H17.9.14 知財高裁 平成17年(行ケ)10187
判決のポイント
機能的に記載された構成要件について,その機能を実現するための具体的な構成が明細書に開示されていないことを理由に,その記載自体に技術的意義はなく,進歩性を主張する根拠たり得ないと認定された。
参照条文
特許法29条2項 特許法123条1項2号
Key Word
進歩性,機能的記載,技術的意義,阻害要因
ポジ型レジスト組成物事件
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H18.11.21 知財高裁 平成18年(行ケ)10159
判決のポイント
「周知技術」であるためには,汎用の技術専門書や一般に入手可能な文献等の総説に記載されていて,不特定多数の人が知り得る状態になっていることまでは要しない,とされた。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
周知技術,不特定多数
文字情報と地図画像の合成方法事件
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H18.11.8 知財高裁 平成17年(行ケ)10849
判決のポイント
相違点とすべき事項を一致点と認定しても,その事項が設計事項であることを理由に,その事項を一致点として進歩性を否定した特許取消決定の判断に誤りはないとした。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
進歩性,審理範囲,設計事項
水棲動物用長期飼料事件
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H18.12.27 知財高裁 平成18年(行ケ)10262
判決のポイント
従来技術を開示する文献として明細書に記載されているものであっても,審査で提示されず拒絶査定の理由とはされなかった文献を,審判で拒絶理由を構成する主要な刊行物として通知することなく審判請求を不成立としたことは許されないとして,拒絶査定を支持した審決を取り消した。
参照条文
特許法50条 特許法159条2項 特許法29条2項
Key Word
拒絶理由,出願人の意見を述べる機会
倒産確率計測装置事件
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H18.10.4 知財高裁 平成17年(行ケ)10704
判決のポイント
特許請求の範囲に記載された上位概念による構成が明確であるためには,当業者が,公知技術や周知技術を参酌して,適宜実施できる程度に具体的に記載されている必要がある。
参照条文
特許法36条6項2号
Key Word
記載不備,発明の明確性,ソフトウェア関連発明
殺菌剤事件
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H18.11.30 知財高裁 平成17年(行ケ)10737
判決のポイント
パリ条約4条Hは,優先権主張の対象である第1国出願に係る出願書類全体から1つの完成した発明が把握される必要があり,その発明の構成部分(構成要件)(elements of the invention)が明確に記載されて(specifically disclose)いなければならない趣旨であると解すべきである,とされた。
参照条文
特許法36条の2 パリ条約4条H
Key Word
パリ優先権,パリ条約4条H,国内優先権
地下構造物用錠装置事件
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H19.2.22 知財高裁 平成18年(行ケ)10126
判決のポイント
実施例に対応していなかった特許請求の範囲に記載の発明を実施例を含むようにする訂正であっても,実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものとは認められなかった。
参照条文
特許法126条4項
Key Word
訂正,特許請求の範囲の拡張・変更
携帯電話を通じた広告方法事件
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H18.5.31 知財高裁 平成17年(行ケ)10710
判決のポイント
拒絶審決が,審判手続において特許出願人に新たな拒絶理由を通知することなくされたものであり,特許出願人は,反論の機会を与えられないまま審決を受けることを余儀なくされ,これが特許出願人の防御の機会を不当に奪うものとなるとされて,取り消された。
参照条文
特許法29条2項 準特許法50条
Key Word
新たな拒絶理由,意見を述べる機会
二輪車の取り外し可能ハンドル事件
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H18.10.24 知財高裁 平成17年(行ケ)10856
判決のポイント
無効審判で実用新案法3条1項各号に該当すると主張され,その存否が審理判断された事実に関し,当該事実の存在を立証し,又はこれを弾劾するために,新たな証拠の申し出をすることは許され,当該証拠に基づいて審決の誤りを主張することは許されるとして審決が取り消された。
参照条文
実用新案法3条の2項
Key Word
引用考案の認定,証拠の追加
プーリー事件
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H19.1.31 知財高裁 平成18年(行ケ)10318
判決のポイント
部分意匠の類否判断において,部分の用途・機能に関する対比は,部分の直接対比ではなく,物品の用途・機能との関係において判断すべきであり,位置等に関する対比は,実線部と破線部との相対関係に限定して判断することは許されないと判示し,本願が引例と類似するとした審決が維持された。
参照条文
意匠法3条1項3号
Key Word
部分意匠の類否,部分の用途及び機能
アサヒ「本生」事件
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H19.3.28 知財高裁 平成18年(行ケ)10374
判決のポイント
本願商標「本生」は「熱処理をしていないビール風味の麦芽発泡酒」に使用しても商品の品質を表示したにすぎず,自他商品識別機能はなく,また原告における使用態様によっても「本生」の文字のみで周知ではないが,「ビール風味の麦芽発泡酒」に使用しても品質誤認は生じない,とされた。
参照条文
商標法3号1項3号 商標法3号2項 商標法4号1項16号
Key Word
自他商品識別力,品質誤認,使用による識別力
赤毛のアン事件
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H18.9.20 知財高裁 平成17年(行ケ)10349
判決のポイント
世界的に著名な小説の原題(英語)から構成される商標登録について,国際信義に反するとして登録無効と判断した審決が維持された。
参照条文
商標法4条1項7号
Key Word
著作物の題号,公序良俗,国際信義
ハルンナート事件
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H19.3.28 東京高裁 平成18年(行ケ)10427
判決のポイント
本件商標は被告商標と出所の混同のおそれありとした無効審決に対し,裁判所は,商標の著名性判断は類似性の程度,周知著名性,商品の性質並びに取引の共通性その他取引の実情に照らし総合的に判断すべきで,原告主張の多数「ハル」商標の存在を考慮しなくても違法ではないと判断した。
参照条文
商標法4条1項15号
Key Word
出所の混同,商標の類似
ピーターラビット事件
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H18.10.26 知財高裁 平成18年(行ケ)10186
判決のポイント
仮処分決定及び本案判決により使用が差し止められた商標の使用は,当該決定及び判決に違背し,商標法50条3項の登録商標の使用とは認められないとして登録を取り消した不使用取消審判の審決が,同様の理由により維持された。
参照条文
商標法50条1項 商標法50条2項 商標法50条3項
Key Word
不使用商標,正当な理由
フルオロエーテル組成物事件
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H18.9.28 東京地裁 平成17年(ワ)10524
判決のポイント
本件発明の「ルイス酸抑制剤」は明確であり,実施例の物質に限定して解釈すべきではなく,被告方法は本件発明の技術的範囲に属する。
参照条文
特許法70条 特許法36条 特許法104条の3
Key Word
技術的範囲,明細書記載の参酌,記載要件
台車固定装置事件
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H18.7.20 大阪地裁 平成17年(ワ)10821
判決のポイント
単に台車固定装置の点検,修理及び部品の交換をするだけの行為は台車固定装置の使用に該当しない。後に特許権者となる原告から適法に譲渡を受けた台車固定装置については,後に設定登録がされる特許権は消尽している。
参照条文
特許法2条3項 特許法68条
Key Word
使用,消尽,点検,修理,部品の交換
多関節搬送装置事件
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H19.2.27 東京地裁 平成15年(ワ)16924
判決のポイント
無効審決取消訴訟が別途併存し,無効審決で認められた訂正が確定していない状況での,特許法104条の3第1項の無効の抗弁に対する再抗弁を認め,差止請求等を認めた。
参照条文
特許法29条2項 特許法36条5項 特許法70条 特許法100条 特許法101条 特許法104条の3 1項
Key Word
無効の抗弁,訂正,間接侵害,輸出
魚釣用電動リール事件
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H18.10.30 知財高裁 平成18年(ネ)10034
判決のポイント
引用発明との相違点にかかる本件特許発明の構成についての控訴人の主張を明細書の記載に基づかないとして退け,無効審判により無効にされるべきものであるとした原判決の判断は相当であるとして控訴を棄却した。
参照条文
特許法104条の3 1項 特許法29条2項
Key Word
技術的意義,明細書の記載に基づかない主張
電話の通話制御方法事件
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H18.12.20 知財高裁 平成18年(ネ)10056
判決のポイント
ある周知技術を前提として,ある事項が明細書等の記載から自明であるいうためには,たとえ周知技術であろうと,明細書等の記載を,当該技術と結び付けて理解させようとするための示唆が必要である。
参照条文
旧特許法40条 特許法29条2項 特許法44条1項 特許法17条の2 3項 特許法104条の3 1項
Key Word
要旨の変更,当初明細書に記載された事項,周知技術
椅子式マッサージ機事件
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H18.9.25 知財高裁 平成17年(ネ)10047
判決のポイント
損害額の算定にあたり,特許法102条1項ただし書の「販売することができない事情」が適用されるとともに,その際考慮されるべき具体的な事情が示されている。
参照条文
特許法70条1項 特許法102条1項
Key Word
均等侵害,損害額の算定,販売することができない事情
ブロックマット事件
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H18.12.21 大阪地裁 平成18年(ワ)7014
判決のポイント
意匠の類否は,登録意匠と対象となる意匠とが要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察して,両意匠が全体として美感を共通にするか否かによって判断すべきである。
参照条文
意匠法23条
Key Word
意匠の要部,意匠の類似,美観
正露丸事件
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H18.7.27 大阪地裁 平成17年(ワ)11663
判決のポイント
胃腸用丸薬である原告製品の包装箱の表示態様において,自他商品識別機能を有するのは「ラッパの図柄」であるとして,その部分のみを類似判断の対象とした。また,「正露丸」の語は,現在もなお胃腸用丸薬を指称する普通名称であるとした。
参照条文
不正競争防止法2条1項1号及び2号 不正競争防止法19条
Key Word
商品等表示の類似判断,自他商品識別機能,普通名称化
トーションレース事件
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H18.12.13 東京地裁 平成17年(ワ)12938
判決のポイント
営業秘密たるアルゴリズムの不正使用について,被疑ソフトウェアのアルゴリズムとの一致度合いはどの程度か,一致する部分が,システムエンジニア等が従来から有していた技術の適用の結果といえるか,又は技術上の合理性の観点からそのような手順の採用が当然か,などに基づいて判断した。
参照条文
不正競争防止法2条1項7号 著作権法21条
Key Word
営業秘密,ソフトウェアの不正使用・複製等,秘密保持義務
ローズモルゲン注事件
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H19.2.15 大阪地裁 平成17年(ワ)2535
判決のポイント
虚偽事実の告知・流布(不正競争防止法2条1項14号)に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点につき,本件事実関係の下では同請求権は被告の各行為ごとに個別に成立し,その消滅時効も各行為につき原告らが「損害及び加害者を知った時」から個別に進行するとした上で,行為類型ごとに起算点を定めた。
参照条文
不正競争防止法2条1項14号 民法724条
Key Word
虚偽事実の告知・流布,損害賠償請求権,消滅時効,起算点
空調機器空調テキスト事件
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H18.10.19 東京高裁 平成18年(ネ)10027
判決のポイント
被控訴人が職務著作物であることは否定され控訴人が著作者であることは認定されたが,著作権侵害は黙示の許諾の存在を理由に否定された。
参照条文
著作権法15条 著作権法21条 著作権法24条 著作権法19条 著作権法20条
Key Word
黙示の許諾,口述権,複製権,氏名表示権,同一性保持権
大ヤマト事件
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H18.12.27 東京地裁 平成17年(ワ)16722
判決のポイント
契約書に翻案権を譲渡の目的とする特掲がない場合には,著作権を譲渡した者に翻案権が留保されると判断された。
参照条文
著作権法27条 著作権法28条 著作権法29条1項 著作権法61条2項 不正競争防止法2条1項1号 不正競争防止法2条1項2号
Key Word
複製権,翻案権,複製権又は翻案権の留保
53年映画事件
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H19.3.29 知財高裁 平成18年(ネ)10078
判決のポイント
年によって期間を定めた場合は期間の満了を把握する基本的な単位は日であり時間で定められるものではない。したがって,著作権の保護期間が午後12時で消滅する場合にこれを翌日の午前零時と同時と捉えて,翌日から適用される改正法の施行の際に当該著作権が消滅していないと解することはできない。
参照条文
平成15年附則2条 著作権法54条1項 民法141条
Key Word
映画の著作物,存続期間,著作権法の改正
録画ネット事件
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H17.11.15 知財高裁 平成17年(ラ)10007
判決のポイント
複製行為の主体は抗告人にあり,著作隣接権としての複製権の侵害が拡大しているものであるから保全の必要性が認められた。
参照条文
著作権法98条 著作権法102条1項 著作権法30条1項
Key Word
著作隣接権,複製権,行為主体
光ピックアップユニット事件
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H18.10.17 最高裁第三小法廷 平成16年(受)781
判決のポイント
外国の特許を受ける権利を譲渡したときの対価請求の準拠法は,第一次的には当事者の意思に従う。職務発明に係る外国の特許を受ける権利を使用者等に譲渡したときの対価請求は,旧特許法35条3項及び4項の規定が類推適用される。
参照条文
特許法35条1項 旧特許法35条3項及び4項 旧法例7条1項
Key Word
職務発明,対価の請求,外国の特許を受ける権利,準拠法
折丁結束前処理装置職務発明事件
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H19.3.29 大阪地裁 平成18年(ワ)4183
判決のポイント
旧特許法35条3項の対価請求権については,勤務規則等にて後発的に実績補償金の支払いが追加規定されたとしても,その追加時点を時効の起算点とすることはできない。
参照条文
旧特許法35条3項
Key Word
職務発明,対価の請求,消滅時効
コンジェニックマウス事件
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H19.2.27 東京地裁 平成17年(ワ)15529
判決のポイント
公知発明については特許法30条の適用がない限り,法的に保護すべき特許を受ける権利は消滅する。発明者として保護されるためには真に発明の創作に関与した者であることを要する。
参照条文
特許法29条1項1号 特許法29条1項柱書 特許法30条1項
Key Word
特許を受ける権利,発明者の認定,新規性の喪失の例外
熱交換器出願取下手続履行請求事件
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H18.3.23 東京地裁 平成17年(ワ)18051
判決のポイント
共同出願については,両者の取下げ合意がない限り,出願の取り下げが行えない。
参照条文
特許法38条 特許法73条1項 特許法14条
Key Word
共同出願,特許を受ける権利,出願の取下
二酸化炭素含有粘性組成物事件
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H18.4.27 大阪地裁 平成16年(ワ)7539
判決のポイント
出願中の特許を使用する製造委託契約における被告の契約違反につき,契約条項に基づき被告製品の差止め及び原告の逸失利益の損害賠償が認められたものの,権利化がされてないことから無形損害の発生は認められなかった。
参照条文
民法95条 民法96条1項 独占禁止法19条 民法90条 民法248条
Key Word
製造委託契約,不公正な取引方法,ノウハウ