実務家のための知的財産権判例70選発明協会にて発売中!

圧縮機用電動機の回転子事件

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H15.9.10 東京高裁 平成14年(行ケ)247

判決のポイント

審決取消訴訟において,発明の構成である「孔」の作用について,明細書に記載のない主張が全く新しい発明を捻出するものではなく,新規事項ではないと認められた。

参照条文

特許法17条の2 3項 特許法29条2項

Key Word

新規事項,作用,拒絶査定不服審判

防汚塗料組成物事件

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H15.9.24 東京高裁 平成14年(行ケ)342

判決のポイント

構成要件における効果記載が引例との相違点として認められた。

参照条文

特許法29条1項3号

Key Word

引用例,相違点,選択発明,顕著な作用効果

ICカード事件

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H16.3.30 東京高裁 平成13年(行ケ)423

判決のポイント

引用発明との技術分野の相違,顕著な効果,長期の不実施,及び商業的成功を論拠とする進歩性主張は認められない。

参照条文

特許法29条2項 特許法123条1項2号

Key Word

進歩性の判断、技術分野の相違、発明の不実施,商業的成功

絶縁電線事件

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H15.6.9 東京高裁 平成13年(行ケ)292

判決のポイント

特許無効審判により全請求項が無効とされたが,審決取消訴訟により一部の請求項にっいて無効審決が取り消された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

容易想討匪の判断の誤り,構成の選択性,有利な効巣の主張,審決一部取消

ドア用電気錠事件

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H15.4.8 東京高裁 平成13年(行ケ)332

判決のポイント

実施可能要件を肯定した審決が取り消された。

参照条文

実用新案法5条3項

Key Word

実施可能要件

タキキニン桔抗体事件

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H15.12.26 東京高裁 平成15年(行ケ)104

判決のポイント

医薬品の用途発明について,請求の範囲の膨大な選択肢が十分に実施例 でサポートされていないときは記載不備に該当する一方,引例で示され た膨大な可能性の一つをもって進歩性は否定できない。

参照条文

特許法36条4項 特許法36条5項 特許法36条6項 特許法29条2項

Key Word

用途発明,記載不備,進歩性

人工乳首事件

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H15.10.8 東京高裁 平成14年(行ケ)539

判決のポイント

国内優先権主張出願で追加された実施例により,先の出願の当初から請 求の範囲に記載されていた発明が拡張される場合,その拡張部分に優先 権の効果は認められない。

参照条文

特許法41条2項 特許法29条の2

Key Word

先の出願の当初明細書に記載された発明,実施例補充型

水性塗料用低汚染剤事件

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H16.2.4 東京高裁 平成15年(行ケ)330

判決のポイント

「除くクレーム」とする補正についても新規事項の追加に該当するかが実質的に判断された。

参照条文

特許法126条

Key Word

新規事項,除くクレーム

メガネフレーム用モダンの製造方法事件

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H15.10.16 東京高裁 平成13年(行ケ)356

判決のポイント

無効審判の共同請求人の一部が起した審決取消訴訟で審決が取り消された場合,審決取訴訟を提起なかった請求人は,その後再開した審判における請求人の地位を失う。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

差し戻し,審理の再開,請求人

行政不服審査法に基づく審査請求の却下の裁決の取消請求事件

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H15.8.28 東京地裁 平成15年(行ウ)33

判決のポイント

特許法第133条2項の規定に基づいてする審判長による手続補正命令は, 行政不服審査法に基づく不服申立ての対象となる「行政庁の処分その他 公権力の行使に当たる行為]に該当するものとはいえないとされた。

参照条文

行政不服審査法1条 特許法133条2項

Key Word

行政庁の処分,手続補正命令,経過規定

ポリッシングパット事件

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H15.8.26 東京高裁 平成15年(行ケ)97

判決のポイント

技術の想到容易性と,物品の形状などに関する意匠の創作容易性とは直 結するものではない,と判断された。

参照条文

意匠法3条2項

Key Word

創作容易

ベアー事件

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H15.11.27 東京高裁 平成15年(行ケ)42

判決のポイント

片仮名「ベアー」の登録商標の自他商品識別機能を,多数の登録・出願 や使用の事実かおることを前提に否定し,自他商品識別機能を有すると した審決を取り消した。

参照条文

商標法3条1項3号 商標法3条1項6号

Key Word

自他商品識別機能,使用による自他商品識別機能の獲得

ポロ図形事件

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H16.2.25 東京高裁 平成16年(行ケ)371

判決のポイント

ポロ競技の図形商標について,「ポロ競技」,「ポロ」の称呼まで生ずる ものではなく類似商標ではないと判断された。

参照条文

商標法4条1項11号

Key Word

図形商標,外観類似,観念と称呼の類似,引用商標の著名性

建築一式工事事件

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H15.10.7 東京高裁 平成15年(行ケ)83

判決のポイント

商標出願の分割に伴う原出願の指定商品等の削減は,補正手続をしなくとも,出願分割自体によって効力を生じ,出願分割が審決取消訴訟係属中に行われると,裁判は削減後の指定商品等について審理することになる。

参照条文

商標法10条1項 商標法68条の40 1項

Key Word

審決取消訴訟係属中の商標出願の分割,出願手続の補正

マルチトール含蜜結晶事件

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H15.6.17 東京地裁 平成14年(ワ)4251

判決のポイント

数値限定発明において,その数値の測定方法が特定されておらず従来よ り知られた測定方法が複数あり異なる測定結果が出る場合,いずれの力 法によっても数値範囲内となるのでない限り非侵害とされた。

参照条文

特許法100条1項

Key Word

数値限定発明の技術的範囲,出願経過の参酌,記載不備

止め具及び紐止め装置事件

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H16.4.23 東京地裁 平成15年(ワ)9215

判決のポイント

分割出願に係る特許発明の構成要件の解釈において原出願に記載された 事項の範囲を超える解釈はできないとされた。

参照条文

特許法44条1項 特許法70条 特許法29条1項1号 特許法39条1項 特許法79条

Key Word

分割出願,新規事項,特許請求の範囲の解釈

車輛在庫情報システム事件

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H15.9.12 東京地裁 平成15年(ワ)5215

判決のポイント

過去の侵害訴訟で非侵害とされた製品の改良製品につき,同一の特許権に基づく訴訟が信義則違反とはされなかったが,前回訴訟と同様の理由で,文言侵害、均等ともに否定された。

参照条文

特許法70条1項

Key Word

信義則,損害賠償請求,均等,機能的記載

不作勧化可能標識事件

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H16.4.28 東京地裁 平成14年(ワ)25924

判決のポイント

「アーク放電」の用語は一義的であり,出願人は「アーク放電」以外の放電形式を除外したものであるから,被告製品は文言侵害にも均等侵害にも当たらないと判断された。

参照条文

特許法70条1項

Key Word

請求の範囲の記載,一義的な意味,均等,意識的除外

拡管装置事件

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H15.7.17 大阪地裁 平成14年(ワ)4565

判決のポイント

被告物件は本件特許発明の本質的部分において相違するとして均等の適用が否定された。

参照条文

特許法100条

Key Word

文言侵害,均等,本質的部分

写真シール自動販売機事件

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H15.12.25 大阪地裁 平成14年(ワ)5107

判決のポイント

均等侵害の成立が,意識的除外の場合に該当するとして否定された。均等成立要件の欠如を前提として,改悪実施による侵害が否定された。

参照条文

特許法70条 特許法29条2項 特許法123条1項2号

Key Word

均等,意識的除外,改悪実施

核酸増幅反応モニター装置事件

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H15.4.14 東京地裁 平成14年(ワ)9503

判決のポイント

被告が,不作為義務を負う範囲は被告製品の全体であるが,被告製品のうち解析用コンピュータ及びカラープリンターは汎用製品であるとして,これらを除く部分について廃棄請求が認められた。

参照条文

特許法70条1項 特許法29条2項

Key Word

汎用品,中性品,廃棄請求

アスパルテームの晶析法事件

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H15.11.26 東京地裁 平成13年(ワ)3764

判決のポイント

アスパルテームの晶析法は物の生産方法の発明に該当するが,その束状結晶は特許出願時において新規な物ではなかったとして,特許法104条の推定規定の適用反び被告製品が本件発明方法により晶析されたとの推認は否定され,原告の請求が却下された。

参照条文

特許法104条 特許法101条1項 特許法29条1項3号

Key Word

物を生産する方法の発明,新規な物,同一の物,生産方法の推定

情報表示機能付ナースコール装置事件

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H15.9,30 東京地裁 平成14年(ワ)26399

判決のポイント

本件発明は,訂正前の特許発明は無効であることが明らかであるから権利行使をすることは権利の濫用として認められないと判断し,さらに訂正請求が認められたとしても無効理由が解消されるものではないから権利濫用であると判断した。

参照条文

特許法29条2項 特許法70条1項

Key Word

進歩性,訂正請求,権利濫用

フィルタエレメント及びフィルタ装置事件

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H15.6.25 東京地裁 平成13年(ワ)24051

判決のポイント

本件発明には,進歩性欠如による明らかな無効理由が存在するので,本件発明に関する特許権に基づく請求は,権利濫用として許されない。

参照条文

特許法29条2項 特許法102条2項

Key Word

進歩性,明らかな無効理由,権利濫用

マルチウインドウ表示制御装置事件

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H15.4.16 東京地裁 平成13年(ワ)15719

判決のポイント

本件発明は特許出願前に外国で頒布された刊行物の記載に基づき容易に発明をすることができたものであり無効理由の存在は明白であるから権利行使は権利濫用に当たるとして排斥された。

参照条文

特許法29条2項 特許法70条1項

Key Word

外国で頒布された公知文献,権利濫用

生体高分子事件

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H16.2.27 東京高裁 平成15年(ネ)1223

判決のポイント

特許権について,範囲を全部,地域を日本全国,期間を特許権の存続期間全部とする専用実施権を設定している場合であっても,特許権者は差止請求権を有すると解された。

参照条文

特許法100条 特許法101条2号

Key Word

専用実施権,差止請求権,間接侵害

盗難防止用商品収納ケース事件

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H15.12.26 東京地裁 平成15年(ワ)7936

判決のポイント

被告意匠は本件登録意匠に類似するが,被告は本件意匠権に先使用権を有する。なおかつ,本件意匠権は無効理由を有し,その権利行使は権利濫用である。

参照条文

意匠法29条

Key Word

意匠の類否、先使用権,無効理由,権利濫用

ボディーグローヴ事件

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H15.6.30 東京地裁 平成15年(ワ)3396

判決のポイント

外国でその国の商標権者から使用許諾を得て製造した商品を日本国内に並行輸入する行為は,仮にライセンス契約に違反があったとしても,日本国内の商標権侵害の違法性は阻却される。

参照条文

商標法36条

Key Word

並行輸入,出所混同,品質保証,許諾条項,販売地制限

ENOTECA商標侵害事件

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H15.8.29 東京地裁 平成15年(ワ)1521
H16.3.18 東京高裁 平成15年(ネ)4925

判決のポイント

被告が,「ENOTECA KIORA」なる名称を使用してイタリア料理を提供するレストラン営業をなす行為は,原告の登録商標「ENOTECA」を侵害しない。

参照条文

商標法36条

Key Word

商標の類似,マーケットサーベイの意義,識別性喪失の判断時点

六角形のユニット家具事件

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H15.7.9 東京地裁 平成15年(ワ)128

判決のポイント

原告の六角形のユニット家具の形態は,同種商品が通常有する形態であるから,商品等表示に該当せず,また被告の六角形のユニット家具の形態は,原告の家具の形態を模倣したものに該当しない。

参照条文

不正競争防止法2条1項1号 不正競争防止法2条1項3号

Key Word

商品等表示,同種商品が通常有する形態,商品の形態の模倣

ピーターラビット事件

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H16.3.15 東京高裁 平成15年(ネ)831

判決のポイント

ライセンス終了後に元ライセンシーがライセンサー等のグループの周知著名な商品表示等を使用することが不正競争に該当することは認められたが,ライセンス契約終了による原状回復義務に基づく移転登録義務は認められなかった。

参照条文

不正競争防止法2条1項1号及び2号 不正競争防止法3条1項

Key Word

周知著名商品等表示使用行為,譲渡契約による移転登録手続

タピオカシアン混入事件

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H15.10.16 東京高裁 平成15年(ネ)1497

判決のポイント

相手方製品のタピオカに猛毒シアンが含まれている旨を相手方の取引先に通知した行為は公益を図る目的があるとはいえず,虚偽事実の告知・流布に当たるとされた。

参照条文

不正競争防止法2条1項14号 不正競争防止法3条1項

Key Word

虚偽事実の告知・流布

超時空要塞マクロス事件

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H15.9.25 東京高裁 平成15年(ネ)1107

判決のポイント

原判決と同じく,被控訴人の著作権(著作者人格権を除く)確認請求は理由がある、と判断された。

参照条文

著作権法29条1項 著作権法15条1項

Key Word

全体的形成に創作的に寄与した者,製作に発意と責任を有する者

国語テスト事件

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H15.3.28 東京地裁 平成I1年(ワ)5265

判決のポイント

国語の教科書に準拠して,副教材として業者が製作する国語テストは,著作権法36条に規定する「試験又は検定の問題」に該当しないとされた。

参照条文

著作権法36条1項 著作権法32条1項

Key Word

試験,無断使用,著作者人格権

人工甘味料職務発明事件

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H16.2.24 東京地裁 平成14年(ワ)20521

判決のポイント

職務発明における相当の対価の額を決定するに際して,外国出願も対象とすること,公開後権利化前も対象とすることが明確となった。

参照条文

特許法35条

Key Word

職務発明,相当の対価,外国出願,補償金請求権

補償金請求事件

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H15.4.22 最高裁第三小法廷 平成13年(受)1256

判決のポイント

職務発明による対価の額が特許法35条3項及び4項の規定にしたがって定められる対価の額に満たないときは,不足額の支払いを求めることができる。また,相当の対価の支払いを受ける権利の消滅時効は,勤務規則などの支払い時期から進行する。

参照条文

特許法35条

Key Word

職務発明,対価の額,勤務規則,消滅時効

外国代理人立替金請求事件

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H16.3.11 大阪地裁 平成14年(ワ)6845

判決のポイント

弁理士による米国弁護士への立替払いは,委任事務の範囲内とされた。

参照条文

特許法605条

Key Word

委任契約上の事務の範囲,事務管理に要した費用