実務家のための知的財産権判例70選発明協会にて発売中!

インバータ装置の駆動回路事件

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H13.9.27 東京高裁 平成12年(行ケ)207

判決のポイント

外国の修士論文に記載された事項が,「頒布された刊行物に記載された」ものと認められて発明の進歩性が否定された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

「頒布された刊行物に記載された」の意義,修士論文

フレキシブル配線基板及び電子部品事件

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H13.3.13 東京高裁 平成11年(行ケ)203

判決のポイント

製造手順に特徴のある物の発明が,その製造手順の優位性を考慮されずに発明の進歩性が否定された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

製造手順に特徴のある物の発明,プロダクト・バイ・プロセスクレーム,発明の進歩性

無線呼出用受信機事件

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H10.10.27 東京高裁 平成9年(行ケ)198

判決のポイント

明細書に記載されておらず,審決取消訴訟において初めて主張された効果は,進歩性の判断において参酌すべきでないとされた。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

引用発明と比較した有利な効果,意見書等で主張された効果の参酌

アルカリ蓄電池用ニッケル電極活物質事件

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H14.2.7 東京高裁 平成12年(行ケ)120

判決のポイント

物発明の製造方法が引用例の製造方法と区別できる程度に詳細に記載されていない等のために発明の詳細な説明の記載が実施可能要件を満足しないとした。

参照条文

特許法36条4項 特許法113条1項4号

Key Word

実施可能要件,明細書の記載要件

熱可塑性樹脂球状粒子の製造法事件

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H13.9.11 東京高裁 平成11年(行ケ)295

判決のポイント

パラメータによる特定を含む請求項の場合に,明細書の記載が不十分であり実施可能要件違反になると判断した。

参照条文

旧特許法36条4項 特許法123条1項4号

Key Word

実施可能要件,機能・特性等による特定,パラメータ

外部から誘導し得るプロモーター配列を用いた小胞子形成の制御事件

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H13.5.17 東京高裁 平成10年(行ケ)28

判決のポイント

クレーム中に記載された複数の工程がそれぞれ発明の詳細な説明中において当業者が容易に実施することができる程度に記載されていない場合は,特許法第36条第4項に違反する。

参照条文

特許法36条4項

Key Word

バイオ関連発明,方法に係る発明,実施可能要件

中通し釣竿事件

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H13.12.27 東京高裁 平成12年(行ケ)396

判決のポイント

分割要件の判断にあたって,原出願明細書等の実施例に記載された個々の構成が無条件に考案の構成となりうるものではないということが示された。

参照条文

特許法44条1項 特許法126条4項 実用新案法3条2項

Key Word

願書に添付した明細書又は図面に記載した事項,新規事項追加の禁止,直接かつ一義的,分割要件,独立実用新案登録可能要件

ズボン等のウエスト伸縮構造事件

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H12.11.20 東京高裁 平成11年(行ケ)349

判決のポイント

特許請求の範囲の減縮後の発明の目的・効果が,発明の目的や効果として明細書に具体的に記載されていない場合に,減縮前の発明の「具体的な目的の範囲」を逸脱することにはならないと判断した。

参照条文

特許法126条項ただし書1号

Key Word

特許請求の範囲の減縮,実質上特許請求の範囲を変更,構成要件の付加,具体的な目的の範囲

バッテリによる給電回路事件

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H14.2.19 東京高裁 平成10年(行ケ)298

判決のポイント

上位概念のクレームを,実施例に記載された下位概念よりも広い中位概念のクレームへ訂正することが認められた。

参照条文

準特許法126条2項

Key Word

願書に添付した明細書又は図面に記載した事項,新規事項追加の禁止,直接かつ一義的

すべり軸受け事件

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H14.1.31 東京高裁 平成13年(行ケ)146

判決のポイント

原告及び被告間における覚書に,直接の記載はなくとも明らかに不起訴の合意が存在するとして,両者間の無効審判の無効審決に対する取消訴訟が門前払いされた。

参照条文

民事訴訟法133条 特許法178条

Key Word

不起訴の合意,覚書内容の解釈

側溝構造事件

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H14.6.27 東京高裁 平成13年(行ケ)421

判決のポイント

無効審決取消訴訟の係属中に請求項の全部が訂正によって削除されたときは,当該訴訟は訴えの利益を欠く不適法なものであるとして却下された。

参照条文

実用新案法14条の2 実用新案法47条 行訴法7条,民事訴訟法61条

Key Word

無効審決取消訴訟,実用新案登録の訂正,請求項の全部が削除,訴えの利益

照明反射鏡事件

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H13. 5.23 東京高裁 平成12年(行ケ)406

判決のポイント

類否判断は,基本的形態の認定,具体的形態のうち共通点の評価,具体的形態のうち相違点の評価,相違点の全体における総合評価という手順を追って行われる。

参照条文

意匠法3条1項3号

Key Word

基本的形態,一般的形態,具体的形態,共通点の評価,相違点の評価

地模様(型押し柄)事件

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H12.8.10 東京高裁 平成11年(行ケ)80

判決のポイント

本願商標は単に商品の品質(型押し柄)を表示するにすぎないとしたが,使用による顕著性があるとして商標法第3条第2項の適用を認めた。

参照条文

商標法3条1項3号 商標法3条2項

Key Word

自他商品識別力,商標の使用,使用による顕著性

T-Mobile事件

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H13.9.18 東京高裁 平成13年(行ケ)68

判決のポイント

商標「T-Mobile」は,これをモバイル機器に用いても,自他商品識別機能を果たさない。

参照条文

商標法3条1項6号

Key Word

商標の一体性,ハイフン記号

特許出願手続補正書に係る手続却下処分取消等請求事件

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H14.5.22 東京地裁 平成13年(行ウ)284

判決のポイント

先の出願が特許法第30条第1項の適用を受ける出願であっても,後の出願において特許法第30条第4項の手続を怠った場合には,不備を解消する補正は不適法である。

参照条文

特許法41条 特許法30条4項 特許法18条の2

Key Word

国内優先権主張と特許法第30条第4項の手続,手続補正書

行政不服審査法による異議申立却下決定取消請求事件

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H13.12.10 東京地裁 平成13年(行ウ)87

判決のポイント

登録料の不納付によりすでに実用新案権が消滅しているので,登録料納付手続の却下処分の取消しを求める利益がないとされ,訴えが却下された。

参照条文

行政不服審査法45条 行政不服審査法48条 行政不服審査法14条3項

Key Word

登録料の納付,納付書補充指令書,オンラインシステムのソフトのトラブル

特許料納付手続却下処分の無効確認事件

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H14.6.27 東京地裁 平成13年(行ウ)285

判決のポイント

特許法112条の2第1項の不責事由には,代理人の納付期限管理ミスは含まれないとして,納付手続却下処分の無効確認請求を棄却した。

参照条文

特許法112条の2 1項

Key Word

特許料の納付,納付手続の却下,責めに帰することができない理由

養殖貝類の耳吊り装置事件

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H11.12.21 東京地裁 平成10年(ワ)8345

判決のポイント

分割要件として原出願の補正できる範囲内であることを要求し,分割は,原出願当初明細書の開示範囲内でされるべきことを明確化した。

参照条文

特許法70条 特許法44条2項 特許法17条2項

Key Word

分割要件,補正,補正の制限,出願日の遡及

レンズ付きフィルムユニット事件

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H12.8.31 東京地裁 平成8年(ワ)16782

判決のポイント

使用後のレンズ付きフィルムユニットにフィルムを入れ替えたものの実施行為に対する差止め等の請求について,消尽の抗弁が否認された。

参照条文

特許法68条 特許法70条

Key Word

消尽

単クローン性CEA抗体3事件

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H2.9.29 東京地裁 平成11年(ワ)8435

判決のポイント

プロダクト・バイ・プロセス・クレームに係る特許発明は,原則として当該プロセスに限定して解釈されるものではないが,限定して解釈すべき事情が存する場合には,当該プロセスに限定される場合があり得る。

参照条文

特許法2条1項1号 特許法2条1項2号 特許法36条 特許法68条 特許法70条

Key Word

プロダクト・バイ・プロセス・クレーム,技術的範囲

支持真柱建込み事件

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H10.10.30 東京地裁 平成6年(ワ)4419

判決のポイント

明細書中で従来の技術として否定した発明,及び中間手続で異なると主張した発明に関しては,均等判断で特段の事情がある。

参照条文

特許法70条

Key Word

均等,特段の事情,明細書中で従来の技術として否定した発明,中間手続で異なると主張した発明

三脚脚立事件

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H13.11.28 東京高裁 平成13年(ネ)2630

判決のポイント

均等論における自由技術の水準と権利乱用論に言及した。

参照条文

実用新案法27条 実用新案法29条

Key Word

自由技術の抗弁,包袋禁反言の原則(ファイル・ラッパー・エストペル),権利濫用

キルビー特許事件

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H12.4.11 最高裁 平成10年(オ)364

判決のポイント

分割出願が不適法であり,出願日の遡及効果を得られないので明らかな無効理由が存在し,無効審決前であっても,これに基づく主張は権利の濫用であるとされた。

参照条文

旧特許法(昭和34年法)9条1項 特許法29条2項 特許法39条1項

Key Word

分割出願,原発明,実質同一,進歩性,無効理由,権利濫用

芳香族カーボネート類の連続的製造法事件

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H13. 3.22 東京高裁 平成12年(ネ)2720

判決のポイント

本件特許出願日前の,先発明の採用可能性調査,技術導入契約,基本設計等の一連の過程から「事業の準備」があったとして先使用の抗弁が認められた。

参照条文

特許法79条

Key Word

先使用権,採用可能性調査,技術導入契約

製パン器事件

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H12.10.24 大阪地裁 平成8年(ワ)12109

判決のポイント

特許発明を実行しない機能に切り替え可能な構造を有する物について、「その発明の実施にのみ使用する物」であると認定して間接侵害を認めた。

参照条文

特許法101条2号

Key Word

間接侵害,「のみ」の要件

記録紙事件

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H13.7.17 東京地裁 平成11年(ワ)23013

判決のポイント

改正された特許法102条1項に関し,本条項の趣旨,各要件の意義・適用に関し,初めて詳細に判示した判決である。

参照条文

特許法102条1項

Key Word

侵害の行為がなければ販売することができた物,実施の能力,単位数量当たりの利益の額,販売することができないとする事情,侵害行為を組成した物を譲渡したとき

おかずを挟んだごはん事件

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H12.4.25 東京地裁 平成11年(ワ)24434

判決のポイント

実用新案技術評価書を提示した警告をしない場合には,実用新案権に基づく損害賠償請求は認められないとして,その請求が棄却された。

参照条文

実用新案法29条の2

Key Word

実用新案技術評価書を提示した警告

ゴム紐事件

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H9.4.25 東京地裁 平成5年(ワ)17437

判決のポイント

登録意匠の権利範囲には,当該登録意匠との関係での公知意匠及び公知意匠に類似する意匠は含まれない。

参照条文

意匠法23条 意匠法24条

Key Word

登録意匠の範囲,公知意匠

Always Coca-Cola事件

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H10.7.22 東京地裁 平成9年(ワ)10409

判決のポイント

キャッチフレーズ「Always Coca-Cola」の使用は、登録商標「オールウエイ」に係る商標権を侵害しない。

参照条文

商標法2条3項 商標法37条

Key Word

キャッチフレーズ,商標的使用態様,著名商標

ESPRIT事件

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H13.1.31 東京高裁 平成12年(行ケ)105

判決のポイント

商品の小売は,独立の役務ではなく,わが国商標法上の「役務」としては認められない。

参照条文

商標法6条1項

Key Word

小売業,小売業における役務の独立性

JamJam事件

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H13.11.9 名古屋地裁 平成12年(ワ)366

判決のポイント

不使用登録商標の商標権に基づく損害賠償請求等において,損害の発生がないとして,商標法38条2項及び商標法38条3項を適用せず,損害賠償等を認めなかった。

参照条文

商標法38条2項 商標法38条3項 商標法2条3項3号

Key Word

損害の発生,損害額の推定,使用料相当額,インターネット,広告,求人情報の提供

ポップ書体事件

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H12.1.17 東京地裁 平成9年(ワ)7268

判決のポイント

デザイン書体の形態が,不正競争防止法2条1項1号の周知な商品等表示に該当しないとされた事件。

参照条文

不正競争防止法2条1項1号

Key Word

ポップ文字,デザイン書体,タイプフェイス,商品等表示

ピアス事件

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H9.3.7 東京地裁 平成6年(ワ)22885

判決のポイント

原告商品の基本的形態は,商品の機能及び効用を奏するために不可避的な形態であり,不正競争防止法2条1項3号の「同種の商品が通常有する形態」である。

参照条文

不正競争防止法2条1項3号

Key Word

同種商品が通常有する形態,模倣,商品形態

支持真柱建込み事件

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H12.2.29 東京高裁 平成10年(ネ)5220

判決のポイント

特許権利者装置の解体等を見積書作成のために行っていても,許諾なく未開示の営業秘密に係る情報を使用していなければ不法行為にはあたらない。

参照条文

民法719条 不正競争防止法2条1項7号

Key Word

共同不法行為,営業秘密

カラオケ装置リース事件

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H13.3.3 最高裁 平成12年(受)222

判決のポイント

カラオケ装置のリース業者はリース契約の相手方が著作権者との間で使用許諾契約の締結等をしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべきである。

参照条文

著作権法22条 著作権法22条の2 民法709条 民法719条

Key Word

音楽の著作物,カラオケ,リース,使用許諾,注意義務

キャンディキャンディ事件

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H13.10.25 最高裁 平成12(受)798

判決のポイント

漫画の原作者の権利が,二次著作物である漫画の主人公を描いた原画の作成,複製又は頒布にまで及ぶことが,認められた。

参照条文

著作権法28条 著作権法65条

Key Word

二次的著作物,原著作物,漫画の著作物,キャラクター,ストーリー

光ピックアップ事件

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H13.5.22 東京高裁 平成11年(ネ)3208

判決のポイント

職務発明について使用者等は相当の対価の額を勤務規則等によって一方的に定めることはできないとされた。

参照条文

特許法35条3項 特許法35条4項

Key Word

職務発明,相当の対価