実務家のための知的財産権判例70選発明協会にて発売中!

外科手術光学的表示方法事件

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H14.4.11 東京高裁 平成12年(行ケ)65

判決のポイント

人間を手術、治療又は診断する方法(医療行為)は、「産業上利用することができる発明」に該当しない。

参照条文

特許法29条1項柱書 特許法69条3項

Key Word

人間を診断する方法、医療行為、産業上利用することができ発明、特許権の効力が及ばない範囲

せん孔爆破における安全装薬量決定方法事件

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H14.11.25 東京高裁 平成13年(行ケ)397

判決のポイント

請求項中の「AまたはB」は、発明を合理的に理解すると、英語のorの一用法の「AすなわちB」という意味で使用され、引用例のAとは異なる。

参照条文

特許法29条2項 特許法70条

Key Word

接続詞「または」の解釈、発明の合理的理解、記載不備

積層包装材料の製造方法事件

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H14.12.25 東京高裁 平成12年(行ケ)446

判決のポイント

引用文献に記載された数値範囲のうち、必要特性が得られないことが当業者の常識であった範囲は、実質的には開示されていないと判断された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

数値範囲、引用文献中の開示内容の認定、当業者の技術常識

風味持続性にすぐれた焼き菓子の製造方法事件

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H14.3.28 東京高裁 平成12年(行ケ)312

判決のポイント

構成自体が容易推考と認められる発明の場合は、目的の相違に拘らず、よほど顕著な効果が無ければ進歩性が認められることはないとされた。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

進歩性、数値限定を伴った発明、有利な効果の参酌、顕著

液晶素子事件

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H14.7.2 東京高裁 平成12年(行ケ)384

判決のポイント

明細書中に、具体例の記載がなく、用語の意味も不明確であり、原告主張の発明の効果の記載もないので、特許法第36条規定の「実施可能要件」不備との認定は維持された。

参照条文

旧特許法36条3項

Key Word

記載不備、実施可能要件、具体例の記載、用語の解釈、効果の記載

安全確保集積回路チップ事件

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H15.3.6 東京高裁 平成12年(行ケ)352

判決のポイント

電気回路の回路構成がブラックボックス的にしか記載されていなくとも、明細書の記載が不明瞭ではないと判断された。

参照条文

旧特許法36条3項 旧特許法36条4項 旧特許法36条5項

Key Word

ブラックボックス的記載、実施可能要件、記載不明瞭、電気回路

組換えDNA分子事件

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H14.4.11 東京高裁 平成9年(行ケ)249

判決のポイント

マウス由来の遺伝子配列の開示のみで、ヒトを含む哺乳類の遺伝子配列にまで請求の範囲を拡張することは明細書の記載不備にあたる。

参照条文

旧特許法36条4項 旧特許法36条3項

Key Word

明細書の開示、請求の範囲、上位概念、下位概念、実施可能要件

装飾体の製造方法事件

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H14.3.26 東京高裁 平成13年(行ケ)172

判決のポイント

実施例中の「長手方向に連続する突条3が突設され」の記載を根拠に、「長手方向に突条3が突設され」を追加したことが新規事項の追加と判断された。

参照条文

特許法134条5項 特許法126条2項

Key Word

新規事項の追加

動力伝達用チェーン事件

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H14.10.31 東京高裁 平成12年(行ケ)170

判決のポイント

訂正請求の許否の判断を請求項ごとにすべきものとされた。

参照条文

特許法134条2項 特許法126条4項

Key Word

訂正請求、許否の判断、請求項ごと

窒化インジウムガリウム半導体の成長方法事件

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H14.5.14 東京高裁 平成13年(行ケ)172

判決のポイント

審判段階で提出されなかった証拠が進歩性を判断する事情の一つとされた。

参照条文

特許法178条 特許法129条2項

Key Word

審決取消訴訟における審理範囲、新たな事実の主張

そばいなり事件

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H15.1.29 東京高裁 平成14年(行ケ)229

判決のポイント

意匠法第3条第2項の適用に「同一の形状を含む公知意匠」の存在は前提とならない。

参照条文

意匠法3条2項

Key Word

創作容易

鳳凰・宝桜事件

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H14.3.19 東京高裁 平成13年(行ケ)363

判決のポイント

登録商標「鳳凰」と引用商標「宝桜」を、称呼「ホウオウ」を共通にするが、外観・観念の相違及び取引の実情により、非類似と判断した。

参照条文

商標法4条1項11号

Key Word

商標の類似、商品の出所の誤認混同、出所の混同、取引の具体的状況、取引の実情

タカラ審決取消請求事件

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H14.12.25 東京高裁 平成13年(行ケ)556

判決のポイント

調味料について本件商標が古くから使用されていても周知とは認定されず「みりん」について著名な引用商標と混同を生じるおそれがある。

参照条文

商標法4条1項15号

Key Word

出所混同、タカラ、引用商標の著名、本件商標の周知・著名、みりんと調味料

資金別貸借対照表事件

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H15.1.20 東京地裁 平成14年(ワ)5502

判決のポイント

貸借対照分析を理解し易くした資金別貸借対照表に係る考案は、実用新案法第2条第1項の「自然法則を利用した技術的思想」に該当しない。

参照条文

実用新案法2条1項 実用新案法3条1項柱書 実用新案法37条1項2号

Key Word

平面的考案、然法則を利用した技術的思想、自然法則を利用した効果、権利濫用

地山固結工法事件

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H15.4.17 東京地裁 平成14年(ワ)14010

判決のポイント

特許権侵害訴訟において無効理由の存在に基づく権利濫用の主張が認められた。

参照条文

特許法29条2項 特許法123条1項2号

Key Word

権利濫用

コンクリート埋設物事件

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H15.2.27 大阪高裁 平成14年(ネ)2776

判決のポイント

親、子、孫と連続してなされた分割出願の子出願に補正による分割要件違反がある場合、孫出願の出願日は親出願まで遡及しないとされた。

参照条文

特許法44条1項 特許法44条2項

Key Word

分割出願の要件、出願日の遡及、親出願、子出願、孫出願、補正

カード台紙事件

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H14.10.9 東京地裁 平成13年(ワ)16820

判決のポイント

侵害品と特許実施品間に、相互補完関係が存在しないことが明らかな場合には、特許法第102条第1項適用の余地はない。

参照条文

特許法70条 特許法102条1号

Key Word

損害額の推定、技術的範囲

ニカルピジン持続性製剤事件

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H15.02.18 大阪高裁 平成14年(ネ)1567

判決のポイント

含有量に限定がない場合、含有量が極微量で発明の作用効果を生じないことが明らかな場合を除き、当該製剤は技術的範囲に含まれる。

参照条文

特許法70条

Key Word

技術的範囲、数値限定

抗凝血性綿撒糸事件

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H14.4.30 東京高裁 平成13年(ネ)2296

判決のポイント

出願手続中で特許性を基礎づける特徴として説明した事項と、均等論における発明の本質的特徴の認定との関係を明確に示し、均等論の適用を否定した。

参照条文

特許法70条

Key Word

技術的範囲、均等、本質的部分、包袋禁反言

梁交差部柱フープ筋幅止め具事件

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H14.8.30 東京地裁 平成13年(ワ)22663

判決のポイント

特許請求の範囲にある、「V字型」などの形状表現について、訂正審判での訂正経緯が参照され、均等上の侵害が認められなかった。

参照条文

特許法70条 特許法126条

Key Word

訂正、V字型、円弧状、底部、技術的範囲、均等、本質的部分、特段の事情

熱交換器用パイプ事件

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H13.3.27 東京高裁 平成13年(ネ)1870

判決のポイント

本件考案は出願日前の公然実施による無効理由を有し、権利行使は権利の濫用に当たるとされ、被告の先使用権が認められた。

参照条文

実用新案法26条 準特許法79条 実用新案法3条1項2号 実用新案法37条1項2号

Key Word

公然実施をされた考案、公然実施の日、無効理由、考案の実施、先使用権

被覆剤を調節塗布しかつ均すためのドクターブレード事件

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H14.5.15 東京地裁 平成13年(ワ)1650

判決のポイント

ブレードを使用することによりその表面被覆層が磨耗してその厚さが請求の範囲内のものとなったとしても、特許権侵害を構成しない。

参照条文

特許法101条

Key Word

間接侵害

椅子式マッサージ機事件

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H15.3.26 東京地裁 平成12年(ワ)3485

判決のポイント

複数の被告製品が、それぞれ複数の特許権を侵害する事例において、被告の事前準備の必要性及び迅速審理への協力の重要性を示す。

参照条文

特許法102条1項

Key Word

譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者が販売することができないとする事情、事前準備、迅速な紛争解決

新規芳香族カルボン酸アミド誘導体の製造方法事件

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H14.10.31 東京高裁 平成12年(ネ)2645

判決のポイント

生産方法の推定適用回避のため、控訴審で、原審主張を撤回し、新製造方法を主張したが、時機に後れた防御方法として却下された。

参照条文

民事訴訟法157条1項 特許法103条 特許法104条

Key Word

時機に後れた防御方法、生産方法の推定、過失の推定

冠婚葬祭用木製看板事件

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H14.12.10 東京地裁 平成12年(ワ)13924

判決のポイント

新会社に対し法人格否認の法理により同額の損害賠償が命じられ、訴訟上の信義則により新会社の攻撃防御が制限された。

参照条文

民事訴訟法2条 民事訴訟法115条

Key Word

法人格否認の論理、既判力の拡張、訴訟上の信義則

減速機付きモーター事件

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H15.1.31 東京地裁 平成14年(ワ)5556

判決のポイント

登録意匠を組み込んだ製品であっても要部が露出しない態様で組み込まれている場合は、その登録意匠の意匠権を侵害するものではない。

参照条文

意匠法2条1項 意匠法2条3項 意匠法23条 意匠法26条

Key Word

流通過程で隠れた要部、意匠の使用、意匠の利用

荷崩れ防止ベルト事件

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H15.4.15 大阪地裁 平成14年(ワ)457

判決のポイント

類似意匠登録が無効理由を有することが明らかである場合、その類似意匠登録は裁判所の判断を拘束しない。

参照条文

意匠法23条 意匠法24条 意匠法3条1項3号

Key Word

類似意匠、明白な無効理由

巨峰事件

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H14.12.12 大阪地裁 平成13年(ワ)9153

判決のポイント

「巨峰」の語は、ぶどうの一品種を表す普通名称と認められ、商標法第26条第1項第2号により、商標権の効力は及ばない。

参照条文

商標法26条1項2号

Key Word

普通名称、普通に用いられる方法、巨峰

United Sports商標権侵害損害賠償請求事件

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H14.1.29 東京地裁 平成12年(ワ)23425

判決のポイント

商標の類否は、その構成を基礎に判断し、他件の判断にはよらない。文書提出命令に誠実に対応しない場合、相手方主張を真実と認める。

参照条文

商標法37条 民事訴訟法224条3項

Key Word

商標の類否、特許庁における審査例、United Sports、UNITED、文書提出命令

衣料品等通信販売事件

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H14.11.27 東京地裁 平成13年(ワ)27144

判決のポイント

通信販売した衣料品のいくつかが、原告製品を摸倣したものと認定された。

参照条文

不正競争防止法2条1項3号

Key Word

摸倣、同種の商品が通常有する形態

MP3事件

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H14.7.15 東京地裁 平成13年(ワ)12318

判決のポイント

米MP3.com社とは関係のない者が「mp3.co.jp」というドメイン名を取得等することにつき、図利加害目的がないとされた。

参照条文

不正競争防止法2条1項12号

Key Word

ドメイン名に関する不正競争、図利加害目的

宇宙戦艦ヤマト事件

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H14.3.25 東京地裁 平成11年(ワ)20820
H14.3.25 東京地裁 平成12年(ワ)14077

判決のポイント

被告の行為は原告が有する著作者人格権侵害と主張した請求は棄却され、被告は各映画の著作物に著作者人格権を有する、と判断された。

参照条文

著作権法16条

Key Word

著作物の全体的形成

ファイルローグ事件

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H15.1.29 東京地裁 平成14年(ワ)4237 中間判決

判決のポイント

音楽著作物をMP3形式で複製した電子ファイル交換サービスのサーバにアクセスさせる行為は、原告の著作権を侵害すると判断された。

参照条文

著作権法2条1項13号 著作権法2条1項15号 著作権法30条1項 著作権法49条1項1号

Key Word

音楽著作物、電子ファイル、自動公衆送信権、送信可能化権

江差追分事件

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H16.6.28 最高裁判所第一小法廷 平成11年(受)922

判決のポイント

言語の著作物の翻案の意義が示された。

参照条文

著作権法27条

Key Word

言語の著作物、翻案

光ピックアップユニット事件

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H14.11.29 東京地裁 平成13年(ワ)16832

判決のポイント

わが国の職務発明に当たるような事案について、属地主義の原則から外国における特許を受ける権利の帰属や譲渡の要件等は各国の特許法を準拠法として定められる。

参照条文

特許法35条3項 法例7条1項 法例7条2項

Key Word

属地主義、外国における特許を受ける権利、職務発明、譲渡、相当の対価、準拠法