実務家のための知的財産権判例70選発明協会にて発売中!

アトピー性皮膚炎治療用の外用剤事件

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H17.1.18 東京高裁 平成15年(行ケ)166

判決のポイント

医薬品の発明につき臨床試験に示す治療効果の真実性が証明されず発明不成立とされた。

参照条文

特許法29条1項柱書

Key Word

臨床試験,治療効果,発明不成立

デジタル電話システム事件

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H16.12.9 東京高裁 平成15年(行ケ)291

判決のポイント

特許出願に係る発明と引用発明の認定の誤りにより独立特許性(進歩性)が否定された審決が取り消された。技術常識や阻害要因が存在していないことを認めるにたる証拠がないとして審決の主張が認められなかった。

参照条文

特許法29条2項 特許法126条3項

Key Word

訂正審判,進歩性の判断,一致点の認定の誤り,阻害事由

ベランダ用パイプ取付金具事件

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H16.6.28 東京高裁 平成16年(行ケ)4

判決のポイント

技術的視点から見て必然的に伴うものと認められない構成要素を削除する補正を行った場合,この構成要素を含まない構成が開示されていなくても,新規事項の追加には当たらないと判断された。

参照条文

旧特許法17条の2 2項で運用する 旧特許法17条2項(特許法17条の2 3項)

Key Word

補正,出願当初の明細書等に記載した事項,新規事項

レンズ付きフィルムユニット事件

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HI7.1.25 東京高裁 平成16年(ネ)1563

判決のポイント

国内優先権を主張した出願にて追加された実施例の記載をもって本件発明が優先出願の発明の範囲を超えていることにはならないとして,優先権の効果が認められた。

参照条文

特許法41条2項 特許法39条3項

Key Word

国内優先権の効果

液晶表示素子の製造方法事件

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H16.10.28 東京高裁 平成16年(行ケ)82

判決のポイント

解決すべき技術的課題が共通していても,本質的に技術思想を異にする先行技術のための課題解決手段を本件発明に適用することは,当業者にとって容易にすることができたとはいえないと認定された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

進歩性,動機づけ,技術的課題,技術思想

回路接続用フィルム状接着剤事件

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H17.4.12 知財高裁 平成17年(行ケ)10091

判決のポイント

当業者がパラメータ数値限定の構成を容易に想到し得たというためには,その数値範囲が課題の解決や効果の発現と関連することを立証することを有する。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

進歩性,パラメータ発明,数値限定発明

金属触媒担体膠着ろう付け方法事件

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H16.3.23 東京高裁 平成15年(行ケ)43

判決のポイント

特許法167条に違反する無効審判請求であるとした審決の判断を支持した。

参照条文

特許法29条2項 特許法135条 特許法167条

Key Word

一事不再理,一般技術常識を証する証拠

生海苔の異物分離除去装置事件

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H17.2.28 東京高裁 平成16年(行ケ)214

判決のポイント

無効審判の審決でした本件発明と引用発明との相違点についての認定判断が誤りとされ,審決が取り消された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

相違点,判断の誤り,審決の結論に影響

電動プレス事件

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H17.3.2 東京高裁 平成16年(行ケ)200

判決のポイント

当初の訂正箇所と明らかに異なる箇所に新たな訂正事項を付加する補正は不明りょうな記載を明りょうにするものであっても訂正にかかる審判請求書の要旨を変更するものである。

参照条文

旧特許法131条 特許法29条2項

Key Word

訂正に係る審判請求書の要旨変更

半導体結晶の製造方法事件

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H16.11.8 東京高裁 平成15年(行ケ)498

判決のポイント

一の引用文献の構成に他の引用文献の構成を適用するに際して阻害要因の存在を認定し,進歩性を否定した審決を取り消した。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

進歩性,阻害要因,技術常識

テーブル用脚事件

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H16.9.15 東京高裁 平成16年(行ケ)60

判決のポイント

願書及び図面において色彩等が開示されていないから,類否判断においてこれを考慮することはできないと判断された。

参照条文

意匠法3条1項3号

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色彩,光沢,質感

靴底図形事件

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H16.11.29 東京高裁 平成16年(行ケ)216

判決のポイント

本件の靴底の形状・模様を表わした図形商標は,「運動靴,スニーカー」の用途,機能から予測しがたいような特異な形態や特別な印象を与える装飾的形態を持たないから,自他商品識別力はない。

参照条文

商標法3条1項3号

Key Word

自他商品識別力,使用による自他商品識別力,使用商標の同一性

ステッチ形状事件

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H16.10.20 東京高裁 平成16年(行ケ)85

判決のポイント

ジーンズのステッチ形状からなる商標の登録が周知著名な形状と混同するとして登録無効と判断した審決が維持された。

参照条文

商標法4条1項11号 商標法4条1項15号

Key Word

図形商標,混同,引用商標の著名性

ザックス事件

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H17.3.17 東京高裁 平成16年(行ケ)404

判決のポイント

繊維素材の商標を表示したラベルを,当該素材を使用した被服等の二次製品に添付して販売しても,その商標は二次製品について使用していると認定できない。

参照条文

商標法50条

Key Word

商標の使用,商標としての使用,商標の自他商品識別機能

DVD貸出用ケース事件

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H16.9.6 大阪地裁 平成15年(ワ)10882

判決のポイント

特許請求の範囲の「対向面に……設けた」の解釈にあたって,明細書及び図面の,特に作用効果の記載が参酌され,被告製品は構成要件を充足しないと判断された。

参照条文

特許法70条2項 特許法100条

Key Word

発明の詳細な説明の参酌,作用効果の参酌

プリンタ用インクタンクリサイクル事件

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H16.12.8 東京地裁 平成16年(ワ)8557

判決のポイント

特許製品の機能,構造,材質,用途,使用形態,取引の実情等の事情を総合的に考慮してプリンタ用インクタンクにかかる特許権の消尽を認め,当該特許製品をリサイクルした被告製品は原告特許権を侵害しないと判断した。

参照条文

特許法101条

Key Word

特許権,リサイクル,侵害,生産,消尽

スロットマシン事件

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H16.5.14 東京地裁 平成14年(ワ)13726

判決のポイント

特許請求の範囲の「リクエスト信号に対応した種類の入賞が得られないときに当該リクエスト信号を次回ゲームまで保存する」ことは,スロットマシンにおけるいわゆる[ボーナスフラグの持越し」に該当しないと判断された。

参照条文

特許法70条

Key Word

構成要件の充足性,機能的記載

レンズ付フィルムユニット事件

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H17.1.25 東京高裁 平成16年(ネ)1563

判決のポイント

控訴人らの主張が,故意又は重大な過失により,時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法であるとして却下された。

参照条文

特許法39条3項

Key Word

時期に後れた攻撃防御方法,却下

移載装置事件

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H17.4.28 名古屋地裁 平成16年(ワ)1307

判決のポイント

専ら販売について先使用権を有する者のために,製品を製造したに過ぎないとしても先使用権の援用は認められないとした。

参照条文

特許法70条 特許法79条 特許法102条2項

Key Word

先使用権,援用

温水器用ステンレス鋼製缶体補償金請求事件

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H16.9.30 東京地裁 平成15年(ワ)26311

判決のポイント

温水器用ステンレス鋼製缶体の発明者が,職務発明の相当の対価の一部として5,000万円及び遅延損害金の支払いを求めたが,時効により請求が棄却された。

参照条文

特許法35条

Key Word

職務発明,相当の対価,実績補償,時効

玩具銃事件

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H16.9.30 東京高裁 平成16年(ネ)1436

判決のポイント

特許法102条2項の損害額の算定

参照条文

特許法70条 特許法102条2項 民法703条

Key Word

損害額の推定,不当利得返還請求

使用電力量制御システム事件

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H16.11.8 大阪地裁 平成15年(ワ)1718

判決のポイント

分説された構成要件のうちの一つが,分説された他の構成要件中における文言を前提として解釈された。

参照条文

特許法70条1項

Key Word

特許発明の技術的範囲,構成要件,文言解釈,明白な無効理由

重炭酸透析用人工腎臓潅流用剤事件

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H16.5.27 大阪地裁 平成14年(ワ)6178

判決のポイント

「コーティング層」及び「からなる」の意味を解釈するにあたり,作用効果を奏する態様であれば足りると認定した。

参照条文

特許法100条1項 特許法102条2項 民法709条

Key Word

…からなる,差止請求,廃棄請求,利益の額,発明の寄与度,共同不法行為

水晶振動子事件

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H17.4.8 東京地裁 平成15年(ワ)3552

判決のポイント

「保持容器の外周面の形状に適合する曲面を有する」とは外周面の形状と一致することまでは要求されていないとして,被告の主張を排斥し,不当利得返還請求が認められた。

参照条文

特許法70条 特許法102条

Key Word

技術的範囲,発明の同一性,要旨変更,不当利得返還請求

切削オーバーレイエ法事件

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H17.2.24 東京高裁 平成16年(ネ)4518

判決のポイント

マンホール枠を含む舗装の切削オーバーレイ工法は,生産物を伴わないので方法の発明と認定され,また被控訴人の当該工法に係るパンフレットの配布行為等は特許法101条3号及び4号に規定する行為に該当しないとされた。

参照条文

特許法2条3項2号 特許法101条3項 特許法101条4項

Key Word

方法の発明,間接侵害,共同行為

病理組織検査標本作成用トレイ事件

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H17.2.10 大阪地裁 平成15年(ワ)4726

判決のポイント

請求の範囲にある「周縁の支持部」の用語は,明細書の記載などから意味が明瞭であり,被告物件は本件考案の技術的範囲に属するとされ,損害賠償請求の一部が認められた。

参照条文

実用新案法26条 特許法70条 実用新案法29条1項及び3項

Key Word

支持部,無効理由,損害額,無償配布,在庫,弁護士費用

平面状光ファイバユニット事件

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H16.10.29 東京地裁 平成15年(ワ)2101

判決のポイント

実用新案登録出願を特許出願に変更して特許権を取得したが,侵害訴訟において、出願内容の同一性がないとして出願日の遡及効が否定され,明らかな無効理由があるとして権利濫用の抗弁が認められた。

参照条文

特許法70条1項

Key Word

出願変更の適法性,出願内容の同一性

防波堤用異形コンクリートブロック事件

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H16.5.28 東京地裁 平成15年(ワ)16055

判決のポイント

相違部分は,出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものというべきであるから,各被告製品は,均等の第5要件を満たさない。

参照条文

商標法101条

Key Word

均等,意識的除外

誘導電力分配システム事件

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H17.5.31 東京地裁 平成15年(ワ)11238

判決のポイント

独占的通常実施権に基づく損害賠償請求において,過失の推定の規定の類推適用を認め,実施料相当額を損害額とする規定の類推適用を認めた。

参照条文

特許法103条 特許法102条2項

Key Word

独占的通常実施権,過失の推定,実施料相当額の損害

使い捨てライター事件

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H16.12.21 大阪地裁 平成16年(ワ)5644

判決のポイント

使い捨てライターにおいてはライター上部の構成が意匠の要部になる。胴部が透明で内部構造が視認できるが、意匠的意義は小さい。

参照条文

意匠法24条

Key Word

意匠の要部,透明,内部構造(模様)

DUNLOP事件

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H16.11.30 大阪地裁 平成15年(ワ)11200

判決のポイント

日本における商標権の譲渡を受けた者が,外国の他のグループ企業から商品を購入し輸入販売した者に対して,商標権侵害等の請求をすることは権利乱用とはいえず,またその輸入販売行為は必ずしも並行輸入に準じるものとは扱われない。

参照条文

商標法25条

Key Word

並行輸入,著名商標,出所混同,品質保証,権利濫用

tabitama事件

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H17.3.31 東京地裁 平成15年(ワ)21451(本訴)
H17.3.31 東京地裁 平成15年(ワ)27464(反訴)

判決のポイント

宿泊施設の提供の契約の媒介等の業務に伴い,宿泊施設の名称,宿泊料金等の情報を顧客に対して提供する行為は,35類の[広告」には該当せず,これに類似する役務とも認められない。

参照条文

商標法27条

Key Word

ドメイン名の使用,商標権侵害,差止請求権,損害賠償請求,反訴請求,不当訴訟,不法行為

クリスマス事件

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HI6.4.22 大阪地裁 平成15年(ワ)10678

判決のポイント

「Christmas」の文字を含み二段書きに構成された商標の使用が登録商標「クリスマス」と類似するものではないと判断された。

参照条文

商標法36条

Key Word

結語商標の類否,商標の自他商品・役務識別力

カットソー事件

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H17.3.30 東京地裁 平成16年(ワ)12793

判決のポイント

不正競争防止法第2条第1項第3号に規定する「同種の商品が通常有する形態」には,既に市場で広く見られるいくつかの商品形態を単に組み合わせただけであっても,その組み合わせ自体が容易なものも含む。

参照条文

不正競争防止法2条1項3号

Key Word

同種の商品,通常有する形態

常時接楽事件

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H16.8.31 東京高裁 平成16年(ネ)836

判決のポイント

著作権を侵害しないから,著作権侵害である旨を告知する行為は虚偽事実の告知行為に該当すると判示する一方,商標権を侵害しないにもかかわらず,商標権侵害である旨を告知する行為は虚偽事実の告知行為に該当しないと判示した。

参照条文

不正競争防止法2条1項14号

Key Word

商標権侵害,著作権侵害,虚偽事実の告知

表紙イラスト事件

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H16.6.25 東京地裁 平成15年(ワ)4779

判決のポイント

出版物の表紙について他人の著作権を侵害した被告Aのみならず,同表紙を依頼した出版事業者である被告Bに対しても,著作権侵害が認定された。

参照条文

著作権法27条

Key Word

思想又は感情の創作的表現,同一性保持権

モデルハウス事件

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H16.9.26 大阪高裁 平成15年(ネ)3575

判決のポイント

通常のありふれた建築物は著作権法が保護する「建築の著作物」に該当しないと判断された。

参照条文

著作権法10条1項1号 著作権法10条1項5号

Key Word

著作物性,建築の著作物

オンラインニュース見出事件

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H16.3.24 東京地裁 平成14年(ワ)28035

判決のポイント

インターネットで配信されるニュース記事の見出しは,客観的事実を記述したものか,これにごく短い修飾語等を付加したものに過ぎないため,創作的表現とは認められず,著作物ではないと判断された。

参照条文

著作権法2条1項1号 著作権法10条2項

Key Word

著作物性,創作性,ニュース記事の見出し