プラズマ生成装置事件
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H19.10.31 知財高裁 平成19年(行ケ)10062
判決のポイント
特許請求の範囲の減縮に該当するか否かは,特許請求の範の全体により判断すべきではなく,補正に係る個々の請求項に限定して判断すべきである。限定的減縮がされていない請求項につき独立特許要件を欠くことを理由として,補正を却下した審決には,手続上の瑕疵があるとされた。
参照条文
旧特許法17条の2 4項2号 旧特許法17条の2 5項 特許法29条2項 特許法53条1項
Key Word
特許請求の範囲の減縮,独立特許要件
ビットの集まりの短縮表現を生成する方法事件
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H20.2.29 知財高裁 平成19年(行ケ)10239
判決のポイント
既存の演算装置を用いて数式を演算する装置が特許法2条1項にいう「発明」となり得るとすると,すべての数式が発明となり得べきこととなり,特許法2条1項の規定の趣旨を没却する旨を判示した。
参照条文
特許法2条1項 特許法29条1項柱書
Key Word
ソフトウェア関連発明,自然法則の利用,アルゴリズム
放射線感光材料用樹脂製造方法事件
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H20.1.31 知財高裁 平成18年(行ケ)10346
判決のポイント
刊行物に記載された多数の置換基を含む一般式において,それぞれの置換基の具体例が多数記載され,その組み合わせが無数にある場合,特定の共重合体がその1つに当てはまるというだけでは,具体的な共重合体が開示されたとはいえないとされた。
参照条文
特許法29条2項 特許法29条1項3号 特許法126条5項
Key Word
進歩性,刊行物に記載された発明
異物検出装置事件
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H19.5.30 知財高裁 平成18年(行ケ)10260
判決のポイント
審決には,引用発明との一致点・相違点の認定に誤りがある。予備的主張も,正しい認定を前提とする必要があり,その採用のためには,新たに弁明の機会を与えるべきである。
参照条文
特許法29条2項 準特許法50条
Key Word
進歩性,一致点・相違点の認定,意見を述べる機会
樹脂配合用酸素吸収剤事件
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H19.10.31 知財高裁 平成18年(行ケ)10452
判決のポイント
発明の構成要件の1つである物質が特許出願前から一般に市販されていたという事実があっても,その物質の発明におけると同様の用途が公知になった時期が出願後である場合には,出願前からその物質がその用途向けに一般に市販されていたとはいえない,とされた。
参照条文
特許法29条2項 特許法123条1項2号
Key Word
用途の公知化,証拠記載事項の認定
吊り戸のガイド装置事件
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H19.3.8 知財高裁 平成18年(行ケ)10484
判決のポイント
本件発明と引用発明1との相違点を開示するとされる引用発明2について,その技術的意義が相違点における技術的意義とは異なるから,相違点に係る構成を容易と解することはできないと認定された。
参照条文
特許法29条2項 特許法123条1項2号
Key Word
進歩性,技術的意義
電磁弁用ソレノイド事件
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H20.3.26 知財高裁 平成19年(行ケ)10298
判決のポイント
いわゆる数値限定発明の進歩性の判断につき,特許庁は臨界的意義を求めたが,裁判所は,引用例にないそれなりの技術的意義を有するものであれば足りると判断した。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
数値限定,周知技術,進歩性
実装用基板事件
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H19.7.12 知財高裁 平成18年(行ケ)10251
判決のポイント
副引例や周知技術の構成を主引例の構成に追加適用するに際し,副引例の構成により解決される課題が主引例において既に解決していることは,その適用の阻害要因となり得る。
参照条文
特許法29条の2
Key Word
阻害要因,解決すべき課題,進歩性
デジタルコンテンツの配信方法事件
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H19.9.27 知財高裁 平成18年(行ケ)10511
判決のポイント
本願発明の課題と直接関係がなくても,タイムラグの発生及びタイムラグの間の処理が,発明の詳細な説明に記載されていない場合には,発明の実施が妨げられるので,発明の詳細な説明の記載が,当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとされた。
参照条文
旧特許法36条4項
Key Word
発明を実施することができる程度,発明の実施の妨げ
半導体装置のテスト用プローブ針事件
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H19.10.30 知財高裁 平成19年(行ケ)10024
判決のポイント
検査用プローブ針の特性を数値限定するのみで検査対象物の特性をなんら規定していない請求項が,サポート要件ありとされた。
参照条文
特許法36条6項1号 特許法123条1項
Key Word
数値限定,サポート要件,記載不備,用途限定
シリカ系被膜形成用組成物事件
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H19.07.25 知財高裁 平成19年(行ケ)10247
判決のポイント
原出願の出願時の明細書等の記載からは,(b)成分が重要な意義を有することは認められるものの,(b)成分よりも重要度の低い(c)成分を含有しない発明が記載されていることにはならないから,特許請求の範囲から(c)成分を除いた本件分割出願は不適法であるとされた。
参照条文
特許法29条1項3号 特許法29条2項 特許法44条1項
Key Word
分割要件,原出願の出願時の明細書等に記載された発明
自動食器洗浄機用粉末洗浄剤事件
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H19.11.28 知財高裁 平成18年(行ケ)10268
判決のポイント
「0.5重量%以下の水酸化カリウム」との記載は,発明の詳細な説明を参酌すれば「0.5重量%以上5重量%以下の水酸化カリウム」の誤記であることが明らかであるとして,訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものにあたらないとされた。
参照条文
特許法126条4項 特許法70条1項及び2項
Key Word
特許請求の範囲を変更する訂正
コンクリート製の水路壁面改良工法事件
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H15.4.1 東京高裁 平成19年(行ケ)10081
判決のポイント
請求項4の訂正を認め,請求項1,2を無効とし,請求項4を無効不成立とした審決に対し,原告が請求項1,2を無効とする部分の取消しを求め本訴を提起したが,被告が無効不成立部分の取消訴訟を提訴しなかったため,訂正を認める部分が確定し,請求項1,2を無効とする部分を取り消した。
参照条文
特許法182条2項 特許法134条の2 4項 特許法123条1項柱書
Key Word
訂正の請求,訂正の帰趨,審決中の訂正を認める部分の確定
編み機およびヤーン切替え装置事件
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H19.7.23 知財高裁 平成19年(行ケ)10099
判決のポイント
特許無効審判において,訂正を認めたうえで,一部の請求項に係る特許を無効とし,残りの請求項に係る請求を不成立とする審決がなされた後,請求を不成立とする部分の審決が確定すると,その審決の確定により,請求を不成立とする部分に係る請求項についての訂正も確定することが示された。
参照条文
特許法126条 特許法134条の2 特許法134条の3 特許法181条2項
Key Word
一部無効・一部不成立審決,訂正の確定効
貝吊り下げ具事件
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H19.6.13 知財高裁 平成19年(行ケ)10078
判決のポイント
意匠の個々の構成態様がありふれているものであっても,その全体の印象として,特有のまとまり感のある意匠の特徴を選択することは,当業者が容易に創作し得たとはいえないと判示し,創作非容易性を否定した審決を取り消した。
参照条文
意匠法3条2項 意匠法24条
Key Word
創作非容易性
CUBS事件
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H19.8.8 知財高裁 平成19年(行ケ)10061
判決のポイント
図形商標の称呼について,周知度,使用状況,特許庁等における登録実績,引用商標権者の認識・理解,文字の図案化の一般的な態様から,不可分一体として認識される範囲が認定されたうえで判断された。
参照条文
商標法4条1項11号
Key Word
類否判断,不可分一体,取引の実情,周知性,登録実績
DonaBenta事件
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H19.5.22 知財高裁 平成18年(行ケ)10301
判決のポイント
ブラジル国内で有名な商標と極めて類似する商標の出願,登録は,不正の目的をもって使用をするものであって,商標法4条1項19号に該当するとして,無効とされた。
参照条文
商標法4条1項19号
Key Word
外国における周知,不正の目的
東京メトロ事件
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H19.9.27 知財高裁 平成19年(行ケ)10008
判決のポイント
無料で配布される新聞が,広告主との契約の履行をもって,商取引に供される商品に該当すると判断された結果,商標法上の商品該当性が肯定され,商標登録の取り消しを免れた。
参照条文
商標法50条1項 商標法1条 商標法2条3項2号
Key Word
商標法上の商品,広告掲載紙の無料配布,商品の商取引,無料の広告掲載紙,民間放送のビジネスモデル
置棚事件
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H19.11.27 大阪高裁 平成16年(ネ)2563
H19.11.27 大阪高裁 平成16年(ネ)3016
判決のポイント
特許公報の発行前に行った通知により公報発行から設定登録時までの実施を違法とした。補償金請求権の警告を行えばその後の特許請求の範囲の減縮補正では再度の警告が不要とされた。
参照条文
特許法65条1項 特許法17条の2 4項 特許法103条
Key Word
文言侵害,均等,過失の推定,補償金請求権
胡麻健康食品事件
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H20.3.27 東京地裁 平成18年(ワ)29554
判決のポイント
乙号証に記載のない本件発明の構成要件が,当業者の技術常識であるとはいえず,特許無効理由は認められないとして特許権者の請求が認容された。
参照条文
特許法29条1項3号 特許法29条2項 特許法100条1項及び2項 特許法102条2項
Key Word
特許請求の範囲の用語の意味の認定,技術常識の認定
インクカートリッジ事件
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H19.11.8 最高裁第一小法廷 平成18年(受)826
判決のポイント
特許権の消尽の判断にあたり,国内等で譲渡した特許製品と同一性を欠く,新たな特許製品が製造されたと認められるときは,特許権行使が許されるとして,上告を棄却した。
参照条文
特許法2条3項 特許法68条 特許法100条1項及び2項
Key Word
消尽,発明の本質的部分,新たな製造
安定制御IC事件
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H19.12.25 東京地裁 平成19年(ワ)4544
判決のポイント
特許請求の範囲に記載された「抵抗」は,「抵抗器」を意味すると解するのが相当であるとして,侵害が否定された。
参照条文
特許法70条1項及び2項 特許法100条1項及び2項
Key Word
技術的範囲,用語の解釈,均等侵害
スピーカ用振動板の製造方法事件
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H19.10.31 東京地裁 平成16年(ワ)22343
判決のポイント
スピーカ用振動板の製造方法の特許権を有する原告Xが,被告Yに対して,損害賠償を請求した事件であり,原告Xが発明者であることが認定され,被告Yの先使用権は認められず,原告Xの請求が認められた。
参照条文
特許法38条 特許法49条1項6号 特許法79条
Key Word
真の発明者,先使用権,事業の準備
増幅器付スピーカー事件
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H19.4.18 東京地裁 平成18年(ワ)19650
判決のポイント
意匠権者(被告)から販売停止を求められた販売業者(原告)が,多機能物品との非類似及び意匠の形態面での非類似を主張して差止請求権不存在確認を求めたが,公知意匠を参酌して広い類似範囲が認められ,原告の請求が棄却された。
参照条文
意匠法23条 意匠法37条1項
Key Word
多機能物品の類否,公知意匠の参酌
MACKINTOSH事件
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H19.12.21 東京地裁 平成19年(ワ)6214
判決のポイント
「ゴム引き布地製コート」の意味を有し,第三者の商標として著名であった「MACKINTOSH」の文字を含む登録商標による権利行使に対し,アイルランド製コート類への被告標章の使用が,商標権侵害に当たると認定され,差止請求が容認された。
参照条文
商標法36条1項 商標法3条1項1号 商標法26条1項2号
Key Word
商標の使用,著名商標,普通名称,権利不要求,権利濫用
タイアップ広告事件
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H20.2.7 大阪地裁 平成19年(ワ)3024
判決のポイント
件 判決のポイント タイアップ広告での商標の使用に対しなされた商標権侵害に基づく差止・損害賠償請求事件で,商標権侵害が認定され,広告掲載の差止が認められたが,損害額では,損害額の推定等はなされず,相当な損害額の認定がなされた。
参照条文
商標法2条3項8号 商標法36条1項 商標法38条2項及び3項 準特許法105条の3 不正競争防止法2条1項1号 不正競争防止法3条1項 不正競争防止法5条2項及び3項1号 不正競争防止法9条
Key Word
タイアップ広告,商標の使用,損害額の推定,相当な損害額
ポット型家庭用電解水生成器事件
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H19.4.26 大阪地裁 平成19年(ワ)1806
判決のポイント
被告商品の形態は,同種商品が通常有する形態以外の形態が原告商品の形態と実質的に同一でないから,被告商品を販売する行為は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当しない。
参照条文
不正競争防止法2条1項3号
Key Word
商品の形態の模倣
大阪みたらし元祖だんご事件
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H19.10.25 大阪高裁 平成19年(ネ)1229
判決のポイント
和菓子の標章として「元祖」の表示を使用する行為につき,本件事実関係の下では不正競争防止法2条1項13号の品質誤認表示行為に該当しないと判断した。
参照条文
不正競争防止法2条1項13号
Key Word
品質誤認表示
液晶モジュール事件
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H19.10.31 知財高裁 平成18年(ネ)10040
判決のポイント
権利者による競業者の取引先への仮処分申立て等が不法行為に当たるとされた。
参照条文
民法709条 不正競争防止法4条1項14号
Key Word
仮処分申立て,仮処分申立て前の調査・検討,交渉の経緯
MYUTA事件
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H19.5.25 東京地裁 平成18年(ワ)10166
判決のポイント
音楽データを蔵置させるデータ領域を個人に貸与し,その個人が携帯電話を用いて自分の音楽データを聞くことを可能とするサービスが,音楽の著作権を侵害すると判断された。
参照条文
著作権法2条1項9号の4 著作権法21条 著作権法23条 著作権法30条
Key Word
複製,公衆送信,権利不存在確認訴訟
東京アウトサイダーズ・スナップ写真事件
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H19.5.31 知財高裁 平成19年(ネ)10003
判決のポイント
一般人が撮影したスナップ写真であっても著作物性が認められ,著作権者の承諾なく当該写真を掲載した書籍は,書籍そのものの販売が差し止められる。
参照条文
著作権法2条1項1号 著作権法32条1項 著作権法19条3項 著作権法20条2項4号
Key Word
写真の著作物性,被告の過失
黒沢映画事件
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H19.9.14 東京地裁 平成19年(ワ)11535
判決のポイント
映画の著作物を複製したDVD商品を輸入,販売する行為が著作権を侵害するとして,当該商品の増製,輸入及び頒布の差し止め並びに在庫品の廃棄が認められた。
参照条文
著作権法112条 著作権法113条1項1号 著作権法15条 著作権法16条 著作権法29条1項
Key Word
増製,全体的形成に創作的に寄与
ヴォンダッチ事件
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H20.3.27 知財高裁 平成19年(ネ)10095
判決のポイント
著作権が二重譲渡され,著作権の移転は時間的に後であったが先に移転登録を受けた被控訴人について,被控訴人に対する譲渡の有効性が否定された結果,被控訴人は,控訴人への本件著作権の移転につき,対抗要件の欠缺を主張し得る法律上の利害関係を有する第三者(著77)には該当しないとされた。
参照条文
著作権法77条 民法94条1項
Key Word
二重譲渡,移転登録,背信的悪意者
特許を受ける権利共有持分者訴訟参加事件
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H19.6.27 東京地裁 平成18年(ワ)126
H19.6.27 東京地裁 平成18年(ワ)20971
判決のポイント
特許を受ける権利の確認訴訟において,同権利の共有者であると主張する者による被告側への共同訴訟参加を認めた。
参照条文
特許法33条 特許法34条1項 民事訴訟法52条 民事訴訟法228条4項
Key Word
特許を受ける権利の譲渡,共同訴訟参加
磁気記録再生装置職務発明事件
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H20.2.20 東京地裁 平成18年(ワ)24193
判決のポイント
発明者間の貢献割合は,発明が完成するに至った貢献度によって定まり,別途の権利が発生する発明と同一の基礎発明の提示者が改良部分の想到者より高く認定された。
参照条文
特許法35条3項 旧特許法35条4項 特許法73条2項
Key Word
職務発明,改良発明,使用者等が受けるべき利益の額,使用者等の貢献度,発明者間の貢献割合,相当の対価額
データ伝送方式国際裁判管轄事件
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H19.11.28 東京地裁 平成16年(ワ)10667
判決のポイント
共同不法行為の成立を前提として,日本国内には支店等を有していない外国法人に対する訴えについて,我が国の裁判所に国際裁判管轄が認められた。
参照条文
民事訴訟法5条9号 民法719条1項及び2項 特許法70条1項及び2項
Key Word
国際裁判管轄,不法行為地,共同不法行為,客観的関連共同性,教唆,幇助,出願経過の参酌
空気清浄装置事件
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H20.3.26 知財高裁 平成19年(行ケ)10074
判決のポイント
拒絶査定において周知の技術の根拠として例示された刊行物を,審決において主たる引用例として判断しようとするときは,特段の事情がない限り拒絶理由を通知して出願人に対し意見書を提出する機会を与えるべきであり,拒絶理由の通知を懈怠してされた審決の手続きは違法であると判示した。
参照条文
旧特許法17条の2 4項2号 旧特許法17条の2 5項 特許法29条2項 特許法53条1項
Key Word
独立特許要件,拒絶理由通知の懈怠,特段の事情
3次元物体の製造装置事件
事件の表示
H19.9.26 知財高裁 平成18年(行ケ)10174
判決のポイント
複数の刊行物の記載から上位概念を抽出して引用発明を認定し,その引用発明と本願発明とを対比して一致点及び相違点を認定することは許されない。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
刊行物に記載された発明,引用発明の認定,相違点の看過
ガソリンエンジン用燃料油事件
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H19.12.26 知財高裁 平成18年(行ケ)10316
判決のポイント
特許発明の進歩性を否定するための文献公知発明としては,特許発明の内容との対比に必要な限度において,その技術的思想を実施し得る程度に技術的思想の内容が特定されていることが必要であり,かつそれで足りる。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
公知発明,引用発明の適格性
ゴルフクラブ用ヘッド事件
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H19.5.22 知財高裁 平成18年(行ケ)10342
判決のポイント
公報の図面からは寸法や角度,曲率などが特定されるものではなく引用例に開示された考案と同じではないとされたが,先行技術との相違点に係る本件考案の構成は周知技術であり,周知技術を採用すれば本件考案の作用効果を奏することは極めて容易に予想し得るから,進歩性がないとされた。
参照条文
実用新案法3条2項 旧実用新案法37条1項1号
Key Word
図面,寸法等の特定,周知技術,進歩性
冷却装置事件
事件の表示
H19.11.28 知財高裁 平成19年(行ケ)10052
判決のポイント
特許請求の範囲に記載の用語の技術的意義,作用・効果が,特許請求の範囲及び明細書に記載されていない場合に,当該用語を一般的な意味で捉えて引用例との対比を行って進歩性の有無を判断することが示された。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
進歩性,技術的意義
エポキシ樹脂組成物事件
事件の表示
H19.5.29 知財高裁 平成18年(行ケ)10396
判決のポイント
併用による相乗効果は,(A)成分単独の場合又は(B)成分単独の場合の各効果を上回るだけでなく,寄せ集めた場合の効果を上回る必要があるとされた。
参照条文
特許法29条2項 旧特許法126条3項
Key Word
相乗効果,引用発明と比較した有利な効果,実験証明書
PWM調光事件
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H19.7.19 知財高裁 平成18年(行ケ)10488
判決のポイント
LEDランプを調光制御する場合,定電流制御する引用発明と,PWM制御する本願発明とは,その制御の方法において両者はなじまないという阻害要因があると判断された。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
技術的困難性,動機付け,阻害要因,作用効果
無アルカリガラス事件
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H19.12.26 知財高裁 平成18年(行ケ)10449
判決のポイント
先願発明は,その優先権基礎出願明細書に記載されているとはいえないので,先願発明を特許法29条の2所定の発明として同条の規定を本願に適用した審決は違法であるとして,拒絶査定を支持した審決が取り消された。
参照条文
特許法29条の2 特許法41条3項
Key Word
発明の同一性,優先権基礎出願明細書
堆積体形成装置事件
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H20.02.27 知財高裁 平成19年(行ケ)10181
判決のポイント
特許庁の審査,審判段階で記載不備とされた発明の詳細な説明の記載について「当業者が容易に実施できる程度に記載されている」と判断された。
参照条文
旧特許法36条4項
Key Word
発明の詳細な説明,当業者が容易に実施できる程度に記載
インクタンク事件
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H20.2.21 知財高裁 平成18年(行ケ)10439
判決のポイント
訂正が特許法134条の2第1項の要件を満たさず不適法であり,訂正前発明に基づき無効とした審決が支持された。
参照条文
特許法134条の2 1項
Key Word
訂正の目的,サブコンビネーション
違反証拠作成システム事件
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H20.2.7 知財高裁 平成18年(行ケ)10369
判決のポイント
ソフトウェア開発に関与した共同発明者が除外されており,共同出願の要件に違反しているので,特許は無効である。
参照条文
特許法38条 特許法123条1項2号及び6号 特許法123条2項 特許法2条1項
Key Word
共同出願,共同発明者,冒認出願,利害関係人
非PVC多層フィルム事件
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H19.5.30 知財高裁 平成17年(行ケ)10799
判決のポイント
訂正明細書の特許請求の範囲の補正において,「および/または」を追加したことが,審判請求書の請求の趣旨の要旨を変更するものであるとされた。
参照条文
特許法36条6項2号 特許法126条1項ただし書 特許法123条5項 特許法131条の2 1項
Key Word
特許請求の範囲の減縮,誤記又は誤訳の訂正,明りょうでない記載の釈明,発明の明確性
安定な低抵抗コンタクト事件
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H20.2.12 知財高裁 平成18年(行ケ)10455
判決のポイント
訂正請求が認容されつつ特許無効とされた場合に,それに対する審決取消訴訟や訂正審判の対象は,認容された訂正を含めた請求項である。
参照条文
特許法123条1項 特許法123条 特許法134条の2 1項 特許法185条
Key Word
無効審判,訂正請求,訂正の確定,請求項ごと,訴えの利益
弾性ダンパー事件
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H19.11.29 知財高裁 平成19年(行ケ)10107
判決のポイント
横縦比は意匠全体の骨格的な構成を決定付け,類否判断の大きな考慮要素になる点等を認定し,本願意匠は引用意匠と物品を共通にするがその形態において類似しないと判示して,本願意匠が引用意匠と類似するとした審決を取り消した。
参照条文
意匠法3条1項3号
Key Word
横縦比(縦横比),物品の類否
マグライト事件
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H19.6.27 知財高裁 平成18年(行ケ)10555
判決のポイント
商標法3条1項3号から5号までに該当する商標に対する商標法3条2項の適用は,出願された商標及び指定商品等と使用商標及び商品等との不一致が存在しても識別力の獲得の認定に妨げとならない程度ならば否定されないと判断された。
参照条文
商標法3条1項3号 商標法3条2項 商標法4条1項18号
Key Word
立体商標,使用による自他商品識別機能の獲得,同一性
餃子の王将事件
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H19.7.19 知財高裁 平成18年(行ケ)10519(A事件)
H19.7.19 知財高裁 平成18年(行ケ)10091(B事件)
判決のポイント
商標法4条1項11号における商標の類否判断に際し,外観,称呼,観念のいずれかで同一あるいは類似するとされても,取引の実情を踏まえて検討した結果,誤認混同を生じない場合には非類似であると判断された。
参照条文
商標法4条1項11号
Key Word
商標の類否,外観,称呼,観念,取引の実情
ガンバレ受験生事件
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H19.4.26 知財高裁 平成18年(行ケ)10458
判決のポイント
商標法8条2項(同日出願人間の協議)及び同条5項(公正なくじ)の実施がなされずに重複登録された場合には無効理由とはならないと判断され,特許出願の場合とは異なり,商標登録出願には後願排除効が無く先願主義を担保できないからであるとの理由が示された。
参照条文
商標法8条2項 商標法8条5項 商標法46条1項
Key Word
同日出願人間の協議,公正なくじ,重複登録,無効理由
マンホール構造用止水可とう継手事件
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H19.12.25 東京地裁 平成18年(ワ)1702
H19.12.25 東京地裁 平成18年(ワ)27110
判決のポイント
被告物件の製造等の行為は,本件特許発明の直接侵害に当たると判断し,差止請求を認め,補償金及び損害賠償の支払いを命じた。
参照条文
特許法65条 特許法102条2項 特許法70条 特許法100条
Key Word
補償金請求,共同不法行為,損害額の算定,技術的範囲
体内脂肪重量計事件
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H19.9.26 東京地裁 平成19年(ワ)6565
判決のポイント
当該特許発明は,当初明細書に記載した事項の範囲内のものではないから,補正制限違反を理由として特許無効とされるべきであるとして,原告の請求を棄却した。
参照条文
特許法17条の2 3項 特許法36条6項1号 特許法123条1項1号 特許法104条の3 1項
Key Word
補正制限違反,当初明細書に記載された事項,当初明細書の記載から自明,無効
レンズ付きフイルムユニット事件
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H19.4.24 東京地裁 平成17年(ワ)15327
判決のポイント
使用済みのレンズ付きフイルムユニットに未露光フイルムを再充填した被告ら製品について,インクカートリッジ大合議判決の第2類型に該当することが認められ,特許権侵害を理由とする損害賠償請求が認容された。
参照条文
特許法70条 特許法102条2項及び3項
Key Word
特許権の消尽
遊技機事件
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H19.05.22 東京地裁 平成17年(ワ)27193
判決のポイント
被告物件のパチスロ機の「演出」は,特許発明における「報知情報の報知」には該当しないと判断された。
参照条文
特許法70条1項及び2項
Key Word
発明の詳細な説明の参酌,作用効果の参酌
粗面仕上金属箔事件
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H20.3.13 東京地裁 平成20年(行ワ)6663
判決のポイント
先使用権の抗弁の成否について判断し,被告に先使用権を認めた。
参照条文
特許法79条 特許法70条1項及び2項
Key Word
先使用権,技術的範囲の属否,用途限定,設計変更
ヤゲン加工済眼鏡レンズの供給システム事件
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H19.12.14 東京地裁 平成16年(ワ)25576
判決のポイント
複数主体による侵害の成立が認められた。
参照条文
特許法70条1項 特許法100条1項及び2項 特許法102条3項
Key Word
複数主体,システム発明
マンホール蓋受枠事件
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H20.1.22 大阪地裁 平成19年(ワ)2366
判決のポイント
原告が有するマンホール蓋受枠に関する意匠権等を被告製品が侵害していると判断したうえで,独占禁止法上で問題となるべき事項を,具体的に指摘した。
参照条文
意匠法23条 実用新案法27条 民法1条3項 独占禁止法3条 独占禁止法21条
Key Word
類否判断,権利濫用
ラブコスメ事件
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H19.10.1 大阪地裁 平成18年(ワ)4737
判決のポイント
被告の使用する「ラブコスメティック」等9件の標章は,いずれも要部が「ラブ」であるから,原告の登録商標「LOVE」等と要部において称呼,観念が同一であり,外観を考慮しても全体として類似すると判断され,権利侵害に該当するとして損害賠償請求が認められた。
参照条文
商標法36条1項 商標法38条2項 商標法38条3項 商標法2条3項8号
Key Word
商標の類似,商標の使用,権利濫用,損害賠償
正露丸事件
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H19.10.11 大阪高裁 平成18年(ネ)2387
判決のポイント
胃腸用丸薬である原告製品の包装箱の表示態様において,自他商品識別機能を有するのは「ラッパの図柄」であるとして,その部分のみを商品等表示の類否判断の対象とした。また,「正露丸」等の語は,現在もなお胃腸用丸薬を指称する普通名称であり,再商標化は認められないとした。
参照条文
不正競争防止法2条1項1号及び2号 不正競争防止法3条1項及び2項 不正競争防止法4条 不正競争防止法19条1項1号
Key Word
商品等表示の類否判断,普通名称の再商標化
マニュアル開示事件
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H19.6.29 東京地裁 平成18年(ワ)14527-2
判決のポイント
原告と被告の合意の下で作成したマニュアルの情報は,お互いに原始的に保有することになり,被告は当該情報を原告から「示された」ものではないとした。また,被告が当該マニュアルを開示した行為について,被告には原告を業務から排除する意図はなかったとし,図利加害目的でないとした。
参照条文
不正競争防止法2条1項7号 不正競争防止法3条 不正競争防止法4条
Key Word
営業秘密,不正開示行為,図利加害目的
美容機器事件
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H19.7.26 大阪地裁 平成18年(ワ)4490
判決のポイント
被告と別法人のウェブサイトに,被告が同法人の子会社であり,原告が同法人の代理店である旨が表示する行為は,被告が同ウェブサイトにおける表示に関与したと認められるため,共同不法行為を構成すると判断された。
参照条文
不正競争防止法2条1項14号
Key Word
虚偽事実,ウェブサイト,氏名権
感知式耐震ラッチ事件
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H19.9.12 知財高裁 平成18年(ネ)10080
判決のポイント
原告による特許権に基づく差止請求権などの債務不存在,並びに原告製品が本件特許権を侵害する旨の告知,流布が不正競争に当たるものとしてその差止が認められたが,損害賠償請求については認められなかった。
参照条文
不正競争防止法2条1項14号 不正競争防止法3条1項 特許法29条の2
Key Word
警告,虚偽の事実の告知・流布,債務不存在確認,発明同一
祇園祭事件
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H20.3.13 東京地裁 平成19年(ワ)1126
判決のポイント
写真の著作物を複製した月刊誌の発行及び写真の著作物を複製・翻案した新聞掲載,ポスターの貼付行為を著作権侵害と認め,被告らに損害賠償を命じた。
参照条文
著作権法21条 著作権法27条 民法709条 民法719条
Key Word
翻案権,氏名表示権,同一性保持権,複製権
土地法典事件
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H20.1.31 東京地裁 平成17年(ワ)16218
判決のポイント
土地宝典には,記載された情報の取捨選択及びその表示方法を総合すると,著作物性が認められる。したがって,これを国が法務局敷地内で不特定多数の一般人に貸出し,それらの者が民事法務協会が設置したコピー機で複製する行為を黙認することは,国と民事法務協会が上記複製行為について,共同侵害主体であると認められる,とされた。
参照条文
著作権法2条1項1号 著作権法21条 著作権法34条4項 著作権法114条の5
Key Word
地図の著作物性,コピー,共同侵害主体
チャップリン映画事件
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H20.2.28 知財高裁 平成19年(ネ)10073
判決のポイント
①映画著作物の著作者は,旧著作権法(以下「旧法」という。)でも映画著作物の全体的形成に創作的に寄与した者であり,この者が旧法3条の「著作者」にあたる。②旧法下で公表された映画著作物の保護期間は,旧法による保護期間が長い場合は旧法規定による(著附則7)。
参照条文
著作権法16条 著作権法54条1項 著作権法52条2項 平成15年著作権附則法3条 昭和45年著作権附則法7条 明治32年著作権法3条 明治32年著作権法6条 明治32年著作権法13条1項 明治32年著作権法22条の3
Key Word
映画,保護期間,著作者,著作権者,著作権法附則
北朝鮮映画事件
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H19.12.14 東京地裁 平成18年(ワ)5640(事件1)
H19.12.14 東京地裁 平成18年(ワ)6062(事件2)
判決のポイント
日本は北朝鮮との間でベルヌ条約上の権利義務関係を有するものではなく,北朝鮮の著作物を保護する義務を負わない。
参照条文
民事訴訟法28条 法適用通則法 ベルヌ条約3条(1)(a)及び(b) 著作権法6条の3 著作権法23条
Key Word
北朝鮮の著作物
X線イメージ管職務発明事件
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H19.6.27 東京地裁 平成17年(ワ)2997
判決のポイント
原告が単独発明者として掲載された特許において,その発明に関与する実験を行った部下が共同発明者に認定された。
参照条文
特許法35条3項 旧特許法35条4項 特許法36条4項
Key Word
職務発明,相当の対価,発明者の認定,共同発明者
処方使用料事件
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H19.8.29 東京地裁 平成17年(ワ)26738
判決のポイント
ノウハウの使用契約及び出願中の発明の実施契約に関する債務不履行及び契約解除後の不法行為について争われた。ノウハウについては債務不履行・不法行為のいずれも認められたが,出願中の発明について不法行為は認められなかった。
参照条文
会社法365条 会社法356条1項2号
Key Word
契約解除,利益相反取引,ノウハウ,債務不履行,不法行為