発光装置事件
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H26.4.23 知財高裁 平成25年(行ケ)10292
判決のポイント
「発光装置」を内容とする請求項を「発光装置が複数並べられた光源」と変更する補正は,限定的減縮に該当しないとされた。
参照条文
特許法17条の2 5項2号
Key Word
限定的減縮
誘電体磁器事件
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H26.9.25 知財高裁 平成25年(行ケ)10324
判決のポイント
再現実験により確認される属性も含めて「広義の刊行物記載発明」を認定できるとしつつ,甲号証の実験報告は再現実験にあたらないとされた。
参照条文
特許法29条1項3号 特許法29条2項
Key Word
刊行物に記載された発明,再現実験
基板製品を製造する方法事件
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H26.11.27 知財高裁 平成25年(行ケ)10234
判決のポイント
主引用例における必須の課題が考慮されていない副引用例を主引用例に適用することには阻害要因がある。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
進歩性,阻害要因,主引用例の適格性
靴下及びその編成方法事件
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H26.5.12 知財高裁 平成25年(行ケ)10229
判決のポイント
組み合わせることは容易に想到し得るが,組み合わせたその構成は本件発明の構成とは異なるものであり,さらに,本件発明の構成と同じように組み合わせることには阻害要因があるとし,進歩性が認められた。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
進歩性,阻害要因,発明の目的,発明の課題
太陽電池モジュールのバックシート事件
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H26.12.18 知財高裁 平成26年(行ケ)10020
判決のポイント
引用発明の認定において,水不透過性シートに直接接着される紫外線遮蔽層のみならず,直接接着されていない耐候性層についても検討対象とすべきであり,耐候性層に基づき検討すると,進歩性を肯定した審決には誤りがある。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
引用発明の認定,相違点の認定,進歩性
ロウ付け用アルミニウム合金製の帯材事件
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H26.8.27 知財高裁 平成25年(行ケ)10277
判決のポイント
出願時の技術常識を参酌すると,当業者は相違点に係る構成を容易に想到し得たとはいえないとして,進歩性違反とした審決が取り消された。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
技術常識,進歩性
脱硫ゴム事件
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H26.7.17 知財高裁 平成25年(行ケ)10245
判決のポイント
本願発明の「脱硫」は引用発明での「脱硫」ではなく「再生」に相当するので,本願発明と引用発明には相違点があり,容易想到とする審決が相違点をもとに取り消された。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
文言の定義,発明の特定,阻害要因
2室容器入り経静脈用総合栄養輸液製剤事件
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H26.7.16 知財高裁 平成25年(行ケ)10089
判決のポイント
主引用発明に副引用発明等を適用する動機はなく,また,技術常識であっても主引用発明に適用することに阻害要因があるとして,本件発明の進歩性を否定した審決を取り消した。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
動機付け,阻害要因,新たな技術的課題
ヒト疾患に対するモデル動物事件
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H27.2.19 知財高裁 平成25年(行ケ)10311
判決のポイント
癌が浸潤すれば必ず転移するものではないとしても,浸潤して時間が経過すれば転移する可能性が高いことが予測されるとして,発明の進歩性を肯定した審決が取り消された。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
容易想到性
新規分岐グルカン並びにその製造方法及び用途事件
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H26.4.16 知財高裁 平成25年(行ケ)10125
判決のポイント
先願発明が新規なα-グルコシル転移酵素を用いるのに対し,本件発明が従来から広く知られていた他のα-グルコシダーゼを用いるという相違点は,先願発明の本質的特徴に関わる相違点であるから微差とはいえず,両発明は実質同一ではない旨を判示し,審決を維持した。
参照条文
特許法29条の2
Key Word
発明の同一性,上位概念
窒化物半導体発光素子事件
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H26.9.24 知財高裁 平成25年(行ケ)10236
判決のポイント
本件発明の「窒化物半導体の本来のバンドギャップエネルギーよりも低いエネルギーの光を発光する」点について,実施可能に記載されていないとした審決が,発明の要旨認定に誤りがあり,実施可能に記載されているとして,取り消された。
参照条文
特許法36条4項1項
Key Word
実施可能要件,効果,実施例
引戸装置の改修方法及び改修引戸装置事件
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H26.9.11 知財高裁 平成25年(行ケ)10321
判決のポイント
請求項の文言に含まれる構成A,Bが本件発明の効果を奏しないからサポート要件違反があるとの原告主張が,構成A,Bにおいて本件発明の効果を奏するとして退けられた。
参照条文
特許法36条6項1号
Key Word
サポート要件
ベバシズマブ特許権存続期間延長登録大合議事件
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H26.5.30 知財高裁 平成25年(行ケ)10197
判決のポイント
処分を受けることによって実施が可能となった特許発明の範囲を,製造販売等の承認書に記載された事項によって特定される範囲に限定して解釈すべきであるとして,請求不成立の審決を取り消した。
参照条文
特許法67条の3 1項1号 特許法68条の2 特許法67条2項 薬事法14条1項 薬事法14条9項
Key Word
特許権の存続期間の延長登録,先行処分,禁止が解除される「特許発明の実施」の範囲,政令で定める処分の対象となった物及び用途
経皮吸収製剤事件
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H27.3.11 知財高裁 平成26年(行ケ)10204
判決のポイント
物に係る請求項からその物の所定の使用態様を除く訂正について,当該物自体を形状,構造,組成,物性等により特定するものではないから訂正後の請求項の記載は技術的に明確ではなく,したがって特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない,と判断された。
参照条文
特許法134条の2 1項ただし書1号
Key Word
特許請求の範囲の減縮,訂正の目的,除くクレーム
携帯情報端画像末事件
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H26.9.11 知財高裁 平成26年(行ケ)10072
判決のポイント
画像意匠の創作容易性の判断において,再生されながら表示される複数の動画の画像自体が意匠法2条2項に規定する操作画像に該当するかが争われた。
参照条文
意匠法2条2項 意匠法3条2項
Key Word
創作容易性,物品の操作の用に供される画像
オタク婚活事件
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H26.5.14 知財高裁 平成25年(行ケ)10341
判決のポイント
登録された商標が異議申立手続により商標法3条1項3号に該当し,同条2項には該当しないとして登録取消とされた異議決定が維持された
参照条文
商標法3条1項3号 商標法3条2項 商標法43条の2
Key Word
記述的商標 異議申立
頭蓋骨図形事件
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H26.11.26 知財高裁 平成26年(行ケ)10127
判決のポイント
本件商標が引用商標と非類似である旨の原告の主張は,当事者及び本件商標と引用商標の類否という争点を共通にする既に確定した別件審決取消訴訟を蒸し返すものといえ,訴訟上の信義則に反し,許されないとして,訴えが却下された。
参照条文
商標法4条1項11号 民事訴訟法2条 民事訴訟法114条
Key Word
訴訟上の信義則,既判力の範囲,商標の類否
ランドリータイム事件
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H26.7.17 知財高裁 平成26年(行ケ)10036
判決のポイント
譲渡契約締結後に譲受人が商標の使用をしている場合,商標権の移転登録が成立していなくても,通常使用権を許諾する旨の黙示の合意はあるとして,通常使用権者としての使用を認め,不使用による登録取消をした審決を覆した。
参照条文
商標法50条1項 商標法50条2項 商標法35条
Key Word
不使用取消, 営業譲渡契約書,通常使用権許諾の黙示の合意
車両用監視装置事件
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H26.4.10 東京地裁 平成24年(ワ)4028
判決のポイント
本件明細書及び引用文献に直接記載されていない周知,自明の課題が認定された。そして,この課題に基づいて当業者は本件発明を容易に想到することができたので,本件特許は無効にされるべきと判示された。
参照条文
特許法29条2項 特許法123条
Key Word
容易想到性,課題の共通性
コンテンツ提供システム事件
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H26.12.11 大阪地裁 平成25年(ワ)3480
判決のポイント
曾孫出願に係る本件特許の請求項1には「マルチエージェント」が記載されていないが,出願の経緯から判断すると,本件特許の請求項1における「エージェント」は,原出願における「マルチエージェント」と解釈すべきであるとし,非侵害であると判断された。
参照条文
特許法44条1項 特許法44条2項 特許法70条1項 特許法70条2項
Key Word
技術的範囲,分割出願,分割要件,サポート要件
マキサカルシトール製造方法事件
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H26.12.24 東京地裁 平成25年(ワ)4040
判決のポイント
化学物質の製造方法に係る特許において,特許請求の範囲に記載された工程を,特許請求の範囲に規定された原料化合物の幾何異性体に適用し,その後追加の工程において目的とする化学物質に変換する迂回方法について,鍵となる反応が同一であるとして,均等侵害が認められた。
参照条文
特許法68条1項 特許法100条1項
Key Word
迂回方法,均等侵
Cu-Ni-Si系銅合金条事件
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H26.6.24 東京地裁 平成24年(ワ)15613
判決のポイント
被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するというために,X線回折強度について,積分強度法とピーク強度法のいずれにおいても本件発明の数値限定の範囲内にある必要があり,かつ,被告各製品の全ての部位において本件発明の構成要件を充足しなければならない,とされた。
参照条文
特許法70条 特許法100条1項
Key Word
H26.6.24 東京地裁 平成24年(ワ)15613
端面加工装置控訴事件
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H26.4.8 知財高裁 平成25年(ネ)10107
判決のポイント
明細書中に定義されていないクレームの用語は実施形態に記 載された具体的な内容に限定されるべきであるとの控訴人の主張が退けられた。
参照条文
特許法70条1項 特許法70条2項 特許法100条
Key Word
用語の意義,機能的クレーム,包袋禁反
ピタバスタチンカルシウム塩結晶事件
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H27.1.27 東京地裁 平成25年(ワ)33993
判決のポイント
X線粉末解析において複数の回折角にピークを有するという構成要件を充足するためには,被疑侵害品の回折角の数値が当該複数のピークのすべてと一致することが必要であると判断された。
参照条文
特許法70条項 特許法70条2項 特許法100条1項
Key Word
技術的範囲,明細書の記載,X線粉末解析,回折角の値
個人情報保護システム事件
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H26.10.16 大阪地裁 平成25年(ワ)4103
判決のポイント
個人情報保護システム事件
参照条文
特許法70条2項
Key Word
課題・効果の参酌
データ送信方法及びデータ送信装置(アップル対サムスン)控訴事件等
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H26.5.16 知財高裁 平成25年(ネ)10043(事件1)
同平成25年(ラ)10007(事件2)
同平成25年(ラ)10008(事件3)
判決のポイント
データ送信方法及びデータ送信装置(アップル対サムスン)控訴事件等
参照条文
特許法100条 特許法100条1号 民法1条3項 民法709条
Key Word
1号製品,消尽,標準規格,FRAND宣言,権利濫
スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法事件
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H26.7.10 東京地裁 平成24年(ワ)30098
判決のポイント
本件特許の請求項に記載されていないホウ酸添加工程を伴う被告の製造方法が,当該特許発明の構成要件を充足すると判断された。。
参照条文
特許法100条1項 特許法100条2項 特許法102条3項
Key Word
構成要件の充足性,実施料
SHIPS事件
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H26.11.14 東京地裁 平成25年(ワ)27442(甲事件)
H26.11.14 東京地裁 平成25年(ワ)34269(乙事件)
判決のポイント
被告商品のデザインの一部に表示された被告標章の使用が,その表示態様に加え,本件商標の周知性を理由に,商標的使用と認められた。
参照条文
商標法3条3項 商標法37条1号
Key Word
商標的使用,出所表示機能,周知商標
バーキン立体商標事件
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H26.5.21 東京地裁 平成25年(ワ)31446
判決のポイント
立体商標の商標権侵害に関する初めての判決で,立体商標と平面商標の類否判断は,「一又は二以上の特定の方向(所定方向)」から見た特徴を比較して行うことが示された。
参照条文
商標法36条1項 商標法38条2項 商標法39条 特許法103条 不正競争防止法2条1項1号 不正競争防止法2条1項2号 不正競争防止法3条1項 不正競争防止法4条 不正競争防止法5条2項 民法709条
Key Word
立体商標,類否の判断基準,所定方向,看者の視覚に映る外観,商品等表示,周知性,誤認混同,信用毀損
DS用マジコン控訴事件
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H26.6.12 知財高裁 平成25年(ネ)10067
判決のポイント
ゲーム機の技術的制限手段を妨げる機能を有するマジコン製品の販売行為の差止めと損害賠償の請求を認めた原判決に対する控訴が棄却された。
参照条文
不正競争防止法2条1項10号 旧不正競争防止法2条1項(H23改正前)
Key Word
技術的制限手段,検知→可能方式
業務用脱臭装置事件
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H26.5.16 東京地裁 平成23年(ワ)40428(本訴)
H26.5.16 東京地裁 平成24年(ワ)5243(反訴)
判決のポイント
本件表示における脱臭装置の「触媒」に関する説明は,化学的な裏付け又は説明可能性を欠き,品質等誤認表示であるので賠償責任が生じるが,脱臭効果等の他の説明に品質等誤認表示はなく,損害額の推定覆滅事由が認められた。
参照条文
不正競争防止法2条1項13号 不正競争防止法2条1項14号 不正競争防止法5条2項
Key Word
品質等誤認表示,触媒作用,損害額の推定覆滅
自炊代行控訴事件
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H26.10.22 知財高裁 平成25年(ネ)10089
判決のポイント
事業者が顧客の求めに応じて顧客の所有する書籍を電子ファイル化した場合,有形的再製を実行している事業者が複製の主体であり,かつ,独立した複製代行業者のサービスは利用者の私的複製過程への外部の者の介入であるから,顧客による私的利用のための複製には該当しない。
参照条文
著作権法2条1項15号 著作権法21条 著作権法30条1項
Key Word
スキャン,自炊,裁断,電子ファイル,複製主体,私的複製
絵画鑑定証書事件
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H26.5.30 東京地裁 平成22年(ワ)27449
判決のポイント
絵画の著作物の鑑定証書に付した原画のコピーが引用と認められて著作権侵害ではないとされた。
参照条文
著作権法21条 著作権法32条1項
Key Word
複製権,鑑定証書,引用,総合考慮,フェアユース
Gnutellaネットワーク発信者情報開示請求事件
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H26.6.25 東京地裁 平成26年(ワ)3570
判決のポイント
プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求において,ファイル交換ソフトにより対象ファイルが送信された時刻にプロバイダから割当てられた該当IPアドレスを使用してインターネットに接続する権限を有していた契約者が発信者と認められた。
参照条文
ロバイダ責任制限法2条4項 著作権法96条の2
Key Word
送信可能化権,発信者該当性,プロバイダ責任制限法
女性芸能人肖像写真事件
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H27.1.29 東京地裁 平成26年(ワ)7213
判決のポイント
最高裁(ピンクレディーdeダイエット事件)が示した判断基準に基づき本件記事における肖像写真の使用につきパブリシティ権の侵害を否定したが,人格的利益の侵害は認めた。
参照条文
民法709条 民法715条 会社法429条1項 会社法350条
Key Word
著名人の氏名・肖像(写真)の使用,パブリシティ権,人格権,人格的利益
物流支援システム控訴事件
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H27.2.26 知財高裁 平成26年(ネ)10025
判決のポイント
時機に後れた攻撃防御方法による却下申立てが認められず,相応の対価の額が見直された。
参照条文
民事訴訟法157条1項
Key Word
合意に基づく対価請求権,時機に後れた攻撃防御方
知識ベースシステム事件
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H26.9.24 知財高裁 平成26年(行ケ)10014
判決のポイント
本件補正発明について,明細書等に記載された課題,技術的手段の構成及び効果等を検討し,専ら概念の整理,データベース等の構造の定義という抽象的な概念ないし人為的な取決めの域を出ないとして,発明該当性を否定した。
参照条文
特許法29条1項柱書
Key Word
自然法則の利用
車上/地上間情報伝送装置事件
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H26.11.27 知財高裁 平成25年(行ケ)10283
判決のポイント
主引用例とは技術分野の関連性のない文献や,審査・審判段階において,一度も審理の対象とされたことがない文献を参酌して,慣用技術を認定し,当業者は相違点に係る構成を容易に想到し得ると判断した。
参照条文
特許29条2項
Key Word
技術分野の関連性,周知・慣用技術,進歩性
気体燃料用インジェクタ事件
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H26.4.23 知財高裁 平成25年(行ケ)10235
判決のポイント
裁判所は,引用文献に直接記載のない技術課題を当業者にとって周知の技術課題であると認定し,課題が内在しているものとして補正却下した拒絶審決の判断に誤りはないとした。また,数値限定について臨界的意義があると認めることはできないとした。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
当業者,周知の課題の解決,数値限定
高吸水高乾燥性パイルマット事件
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H26.6.10 知財高裁 平成25年(行ケ)10313
判決のポイント
商品カタログ等によって引用発明を認定したが,書証には肌触り性を課題とする技術思想についての記載がなく,引用発明は商品に必要な要素を備えることを前提に素材が選択されたものであり,引用発明にそれ以外の素材を使用する必要性が見いだせないと判断した。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
進歩性,動機付け,技術的課題
卓上切断機事件
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H26.11.13 知財高裁 平成25年(行ケ)10338
判決のポイント
引用発明には,本件発明が解決しようとした課題について示唆も記載もないことなどを理由に本件発明の進歩性を認めた審決に対し,判決では,引用発明について本件発明とは異なるが,引用発明間に共通の課題が内在しているため,引用発明同士を組み合わせる動機付けがあるとして,その審決を取り消した。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
技術常識,動機付け,共通の課題
電子写真現像剤用磁性キャリア事件
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H26.10.8 知財高裁 平成25年(行ケ)10296
判決のポイント
特定の方法で製造されたものかが不明である以上,引用発明について測定条件を本願補正発明として求めても,本願規定の帯電量の範囲を満たすと認定することはできない。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
測定方法,容易想到性
血管内皮機能改善剤事件
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H26.9.10 知財高裁 平成25年(行ケ)10209
判決のポイント
既存医薬品について新たな医薬用途を見出した発明(第二医薬用途発明)において,同様の性質を有する医薬が知られていても,出願時にその第二医薬用途と作用機序の関連性が不明である場合は,その医薬用途は容易に想到できるものではない。
参照条文
特許法29条2項
Key Word
医薬用途発明,進歩性,動機付け,技術常識の認定
帯電微粒子水によるエチレンガスの除去方法事件
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H26.4.24 知財高裁 平成25年(行ケ)10259
判決のポイント
主引用例及び副引用例はいずれも「活性種を利用した空気清浄技術」という共通の技術分野に属するとして,審決では触れられていない技術分野の共通性を認定して,特許維持審決を取り消した。
参照条文
項特許法29条2項
Key Word
技術分野の共通性 技術常識 周知技術
イバンドロネート多形B事件
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H27.1.22 知財高裁 平成25年(行ケ)10286
判決のポイント
審決の一致点の認定の誤りを指摘して新たな相違点を認定し,また相違点の看過も認めて審決を取り消した。
参照条文
特許法29条の2
Key Word
一致点の認定の誤り,相違点の看過
重力発電装置事件
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H26.12.24 知財高裁 平成26年(行ケ)10080
判決のポイント
永久機関に係る発明について,種々の反論を試みたものの,明細書の記載に基づき実施可能要件を満たさないと判断された。
参照条文
特許法36条4項1号
Key Word
実施可能要件,永久機関
投影光学系事件
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H27.1.28 知財高裁 平成26年(行ケ)10114
判決のポイント
特許請求の範囲に記載された発明の構成要件を解釈した上で,発明の詳細な説明には,それら発明の構成要件が記載されていると認定した。
参照条文
特許法36条6項1号
Key Word
サポート要件,補正
マイクロモジュールと非接触式近接通信手段を備える再現装置とからなる組立品事件
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H27.3.31 知財高裁 平成26年(行ケ)10129
判決のポイント
拒絶査定不服審判の請求時に行った限定的減縮の補正における独立特許要件の審理過程において,審査段階で拒絶理由通知が発送されていたため,審判段階で拒絶理由通知を発送しないことは,審判請求人にとって不意打ちにならないと判示した。
参照条文
特許法50条 特許法53条1項 特許法159条1項 特許法159条2項
Key Word
手続違背,反論の機会,補正却下
水晶発振器の製造方法事件
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H26.10.9 知財高裁 平成25年(行ケ)10346
判決のポイント
明細書においては独立した構成として記載され,両方の構成を有する態様については直接的に記載されていないにもかかわらず,両方の構成を請求項に追加する訂正は,新たな技術的事項を導入するものであると判断された。
参照条文
特許法134条の2 1項ただし書 特許法126条5項
Key Word
訂正,新たな技術的事項の導入
ラック搬送装置事件
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H27.1.28 知財高裁 平成26年(行ケ)10087
判決のポイント
技術常識を考慮すれば,可動アームに測定ユニットを取り付ける態様を,「懸下」以外の「埋設」等の態様とすることについても,本件明細書から自明のものであったと認められるとし,測定ユニットを「保持」する可動アームを含む本件訂正は新たな技術的事項を導入するものではない,とした。
参照条文
旧特許法134条の2 5項で準用する特許法126条3項(H23年改正前)
Key Word
新規事項,新たな技術的事項の導入
携帯情報端末事件
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H27.1.28 知財高裁 平成26年(行ケ)10163
判決のポイント
需要者が携帯情報端末の側面のデザインの細かな点についてまで詳細に看取するものとは考え難いから,基調を占める部分で共通点を有している本願意匠と引用相当部分とは類似していると判示した。
参照条文
意匠法3条1項3号
Key Word
部分意匠 携帯情報端末
東京維新の会事件
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H26.9.11 知財高裁 平成26年(行ケ)10092
判決のポイント
商標法4条1項6号の判断の基準時は,査定時ではなく,審決時とした上で,審決時に政治団体である東京維新の会が解散していても,当面は,その出所の混同を防止するために,同一又は類似の商標の登録を妨げるべきとし,本願商標は商標法4条1項6号に該当すると判示した。
参照条文
商標法4条1項6号 商標法4条3項 商標法56条
Key Word
判断の基準時,著名性,審決後の事情の考慮
JAS事件
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H27.1.29 知財高裁 平成25年(行ケ)10294
判決のポイント
不使用取消審判において,作成者不明のブログに掲載された写真を証拠として要証期間内に「JAS」商標が使用されたことが認定された。
参照条文
商標法50条1項 商標法2条3項3号 商標法2条3項4号 商標法2条3項5号
Key Word
商標的使用,会社統合よる商号変更,利用に供する物,役務の提供のために展示
生海苔の共回り防止装置事件
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H27.3.18 東京地裁 平成25年(ワ)32555
判決のポイント
製品のメンテナンス行為によって,同一性を欠く新たな装置が製造されたと評価された場合,特許発明に係る物の実質的な再生産であるとして,特許権の侵害が認められた。
参照条文
特許法2条3項1号 特許法100条1項
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H27.3.18 東京地裁 平成25年(ワ)32555
マンホール用のインバート事件
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H26.12.15 東京地裁 平成24年(ワ)25291
判決のポイント
実施可能要件を具備するか否かは,当業者が,発明の詳細な説明及び図面の内容等を参照し,発明を実施できるか否かであって,当該発明の種類によって,要求される記載内容も自ずと異なる,とした。
参照条文
旧特許法36条4項(H14年改正) 旧特許法36条6項1号(H14年改正前) 特許法70条1項
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技術的範囲,実施可能要件,サポート要件
角度調整金具控訴事件
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H27.1.29 知財高裁 平成25年(ネ)10098
判決のポイント
原出願明細書に記載された発明特定事項の一部を削除して上位概念化した発明に対する本件特許が分割要件を満たさないとして,本件特許による権利行使は許されないとされた。
参照条文
特許法44条1項 特許法104条の3 1項
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分割要件,権利行使の制限
通気口用フィルター部材事件
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H26.4.22 大阪地裁 平成22年(ワ)3792
H26.5.13 大阪地裁 平成25年(ワ)3742
判決のポイント
被告の提出した試験方法が本件特許発明の想定するものに近く、客観的かつ再現性が高いものであるとして、その試験結果に照らし被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属さないと判断された。
参照条文
特許法70条
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発明の技術的意義,技術的範囲,試験方法,測定方法
センサ付き省エネルギーランプ事件
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H26.6.19 大阪地裁 平成25年(ワ)9486
判決のポイント
明細書等の記載を参酌して,本件発明の「ランプ」は光源を意味すると解し,Y製品における光源は,個々のLEDチップではなく,その集合体であるLEDパッケージであり,これはひとつしか設けられていないので,「複数のランプ」に相当しないとして請求を棄却した。
参照条文
特許法70条1項 特許法70条2項
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明細書等の記載の参
攪拌造粒装置控訴事件
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H26.6.26 知財高裁 平成25年(ネ)10007
判決のポイント
発明の詳細な説明を参酌した本件特許発明の構成要件Dの解釈について,本件控訴審では,原審の解釈を否定して別の解釈をし,被告製品は構成要件Dを充足すると判断した。
参照条文
特許法70条1項 特許法70条2項
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技術的範囲,発明の詳細な説明の参酌
洗濯乾燥機事件
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H26.7.23 東京地裁 平成24年(ワ)14652
判決のポイント
請求項の記載における,「前記検知工程による検知を条件に」との文言は,蓋の開閉検知により槽乾燥工程に自動移行する旨の限定が付されていると解することはできないとされた。
参照条文
特許法70条2項
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文言侵害,技術的範囲
ネットワークゲーム用サーバ装置事件
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H26.6.6 東京地裁 平成23年(ワ)29178
判決のポイント
明細書を参酌して「対価データ」の用語が限定して解釈され,被告製品は特許発明の技術的範囲に属さないとされた。
参照条文
特許法70条2項 特許法134条の2 1項
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特許発明の技術的範囲,発明の意義,明細書の参酌
Cu-Ni-Si系合金事件
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H27.1.22 東京地裁 平成24年(ワ)15621
判決のポイント
被告が一旦行った裁判上の自白の撤回を認め,イ号物件は非侵害であるとした。
参照条文
特許法100条 民事訴訟法179条
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イ号特定,裁判上の自白,自白の撤回,数値限定
建築用パネル事件
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H26.4.21 大阪地裁 平成25年(ワ)2462
判決のポイント
被告意匠と本件意匠との類否,本件意匠登録における無効理由の有無等を判断することなく,被告に先使用による通常実施権を認めた。
参照条文
意匠法29条
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先使用権,部分意匠
メロン熊事件
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H26.8.28 大阪地裁 平成25年(ワ)7840
判決のポイント
周知性,著名性を獲得し,強い顧客吸引力を持つ標章に対し,不使用の登録商標に基づく権利行使は,出所を誤認混同するおそれが極めて低く,訴訟の提起自体が取消審判に対する対抗手段として行われた疑いが強い場合は,登録商標と誤認混同のおそれがあるとしても権利濫用に当たる。
参照条文
商標法25条 商標法37条 商標法38条 商標法50条1項 民法1条3項 民法709条
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周知性,著名性,顧客吸引力,誤認混同,権利濫用
巻くだけダイエット事件
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H27.1.29 知財高裁 平成26年(ネ)10095
H26.8.29 東京地裁 平成25年(ワ)28860(原審)
判決のポイント
「巻くだけダイエット」の表示は,記述的度合いが高いものであり,数あるダイエット手法の中において業務の内容を需要者に示しているものにすぎず,業務の出所を指し示すものとして使用されていたとはいえないと認定された。
参照条文
不正競争防止法2条1項2号 不正競争防止法3条 不正競争防止法4条 不正競争防止法5条1項
Key Word
商品等表示,自他商品識別機能,出所表示機能
発光ダイオード事件
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H27.2.19 大阪地裁 平成26年(ワ)3119
判決のポイント
ウェブサイトへの先行訴訟に関するプレスリリースが,不正競争防止法2条1項14号の「虚偽の事実の告知・流布」に該当すると判断された。一方,先行訴訟の提起自体は不法行為には該当しないと判断された。
参照条文
不正競争防止法2条1項14号 民法709条
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虚偽の事実の告知・流布
幼児用椅子の形態模倣事件
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H26.4.17 東京地裁 平成25年(ワ)8040
判決のポイント
原告製品である幼児用椅子の形態について著作物性が認められず,原告製品の形態的特徴を被告製品が有せず不正競争防止法に該当する関係にもない等として,被告製品の差止等を求めた原告の請求が棄却された。
参照条文
著作権法2条1項1号 不正競争防止法2条1項1号 不正競争防止法2条1項2号
Key Word
応用美術,著作物性,不正競争行為該当性
書評翻案事件
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H26.12.24 東京地裁 平成26年(ワ)4088
判決のポイント
書評が原著作物の翻案権を侵害するか否かで争われ,翻案権侵害に該当しないとされた。
参照条文
著作権法19条 著作権法20条 著作権法21条 著作権法27条
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書評,氏名表示権,同一性保持権,翻案権
ピアノ生演奏事件
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H26.6.26 東京地裁 平成24年(ワ)32339
判決のポイント
被告ら3社の店舗内で行われたピアノ演奏とカラオケ装置の使用が原告管理楽曲等の著作権侵害とされたが,被告ら3社の親会社については,別法人であり,上記店舗での演奏等の主体であるとも認められないとされた。
参照条文
著作権法22条 著作権法112条 民法719条
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演奏権,上映権,カラオケ法理
なめこ育成者権侵害事件
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H26.11.28 東京地裁 平成21年(ワ)47799(第1事件)
H26.11.28 東京地裁 平成25年(ワ)21905(第2事件)
判決のポイント
育成者権に基づく侵害の差止請求等は,品種登録取消事由に該当することが明らかな場合は権利濫用に当たり認められない。
参照条文
種苗法3条1項2号 種苗法3条1項3号 種苗法20条1項 特許法104条の3
Key Word
品種登録,育成者権,権利無効の抗弁,権利濫用
円筒式絞り機控訴事件
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H26.10.22 知財高裁 平成26年(ネ)10052
H26.04.24 東京地裁 平成25年(ワ)32026(原審)
判決のポイント
訴訟上の和解において特許発明の技術的範囲への属否が未確認であった,設計変更製品についての差止請求権等の不存在確認の訴えが,確認の利益を欠くとして,却下された。
参照条文
特許法100条1項 民法709条
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和解,設計変更,技術的範囲,差止請求権,不存在確認訴えの利益,確認の利益,紛争の成熟性,即時確定の利益
安定材付きベタ基礎工法控訴事件
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H26.6.26 知財高裁 平成26年(ネ)10012
判決のポイント
使用者が特許発明の一部を実施して第三者に販売して得た利益,及びその余の部分の実施を第三者に許諾して得た対価とする利益はいずれも使用者の独占の利益であるとした。
参照条文
旧特許法35条3項(H16年改正前)
Key Word
職務発明,対価請求,独占の利益