実務家のための知的財産権判例70選発明協会にて発売中!

発光装置事件

事件の表示

H26.4.23 知財高裁 平成25年(行ケ)10292

判決のポイント

「発光装置」を内容とする請求項を「発光装置が複数並べられた光源」と変更する補正は,限定的減縮に該当しないとされた。

参照条文

特許法17条の2 5項2号

Key Word

限定的減縮

誘電体磁器事件

事件の表示

H26.9.25 知財高裁 平成25年(行ケ)10324

判決のポイント

再現実験により確認される属性も含めて「広義の刊行物記載発明」を認定できるとしつつ,甲号証の実験報告は再現実験にあたらないとされた。

参照条文

特許法29条1項3号 特許法29条2項

Key Word

刊行物に記載された発明,再現実験

基板製品を製造する方法事件

事件の表示

H26.11.27 知財高裁 平成25年(行ケ)10234

判決のポイント

主引用例における必須の課題が考慮されていない副引用例を主引用例に適用することには阻害要因がある。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

進歩性,阻害要因,主引用例の適格性

靴下及びその編成方法事件

事件の表示

H26.5.12 知財高裁 平成25年(行ケ)10229

判決のポイント

組み合わせることは容易に想到し得るが,組み合わせたその構成は本件発明の構成とは異なるものであり,さらに,本件発明の構成と同じように組み合わせることには阻害要因があるとし,進歩性が認められた。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

進歩性,阻害要因,発明の目的,発明の課題

太陽電池モジュールのバックシート事件

事件の表示

H26.12.18 知財高裁 平成26年(行ケ)10020

判決のポイント

引用発明の認定において,水不透過性シートに直接接着される紫外線遮蔽層のみならず,直接接着されていない耐候性層についても検討対象とすべきであり,耐候性層に基づき検討すると,進歩性を肯定した審決には誤りがある。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

引用発明の認定,相違点の認定,進歩性

ロウ付け用アルミニウム合金製の帯材事件

事件の表示

H26.8.27 知財高裁 平成25年(行ケ)10277

判決のポイント

出願時の技術常識を参酌すると,当業者は相違点に係る構成を容易に想到し得たとはいえないとして,進歩性違反とした審決が取り消された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

技術常識,進歩性

脱硫ゴム事件

事件の表示

H26.7.17 知財高裁 平成25年(行ケ)10245

判決のポイント

本願発明の「脱硫」は引用発明での「脱硫」ではなく「再生」に相当するので,本願発明と引用発明には相違点があり,容易想到とする審決が相違点をもとに取り消された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

文言の定義,発明の特定,阻害要因

2室容器入り経静脈用総合栄養輸液製剤事件

事件の表示

H26.7.16 知財高裁 平成25年(行ケ)10089

判決のポイント

主引用発明に副引用発明等を適用する動機はなく,また,技術常識であっても主引用発明に適用することに阻害要因があるとして,本件発明の進歩性を否定した審決を取り消した。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

動機付け,阻害要因,新たな技術的課題

ヒト疾患に対するモデル動物事件

事件の表示

H27.2.19 知財高裁 平成25年(行ケ)10311

判決のポイント

癌が浸潤すれば必ず転移するものではないとしても,浸潤して時間が経過すれば転移する可能性が高いことが予測されるとして,発明の進歩性を肯定した審決が取り消された。

参照条文

特許法29条2項

Key Word

容易想到性

新規分岐グルカン並びにその製造方法及び用途事件

事件の表示

H26.4.16 知財高裁 平成25年(行ケ)10125

判決のポイント

先願発明が新規なα-グルコシル転移酵素を用いるのに対し,本件発明が従来から広く知られていた他のα-グルコシダーゼを用いるという相違点は,先願発明の本質的特徴に関わる相違点であるから微差とはいえず,両発明は実質同一ではない旨を判示し,審決を維持した。

参照条文

特許法29条の2

Key Word

発明の同一性,上位概念

窒化物半導体発光素子事件

事件の表示

H26.9.24 知財高裁 平成25年(行ケ)10236

判決のポイント

本件発明の「窒化物半導体の本来のバンドギャップエネルギーよりも低いエネルギーの光を発光する」点について,実施可能に記載されていないとした審決が,発明の要旨認定に誤りがあり,実施可能に記載されているとして,取り消された。

参照条文

特許法36条4項1項

Key Word

実施可能要件,効果,実施例

引戸装置の改修方法及び改修引戸装置事件

事件の表示

H26.9.11 知財高裁 平成25年(行ケ)10321

判決のポイント

請求項の文言に含まれる構成A,Bが本件発明の効果を奏しないからサポート要件違反があるとの原告主張が,構成A,Bにおいて本件発明の効果を奏するとして退けられた。

参照条文

特許法36条6項1号

Key Word

サポート要件

ベバシズマブ特許権存続期間延長登録大合議事件

事件の表示

H26.5.30 知財高裁 平成25年(行ケ)10197

判決のポイント

処分を受けることによって実施が可能となった特許発明の範囲を,製造販売等の承認書に記載された事項によって特定される範囲に限定して解釈すべきであるとして,請求不成立の審決を取り消した。

参照条文

特許法67条の3 1項1号 特許法68条の2 特許法67条2項 薬事法14条1項 薬事法14条9項

Key Word

特許権の存続期間の延長登録,先行処分,禁止が解除される「特許発明の実施」の範囲,政令で定める処分の対象となった物及び用途

経皮吸収製剤事件

事件の表示

H27.3.11 知財高裁 平成26年(行ケ)10204

判決のポイント

物に係る請求項からその物の所定の使用態様を除く訂正について,当該物自体を形状,構造,組成,物性等により特定するものではないから訂正後の請求項の記載は技術的に明確ではなく,したがって特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない,と判断された。

参照条文

特許法134条の2 1項ただし書1号

Key Word

特許請求の範囲の減縮,訂正の目的,除くクレーム

携帯情報端画像末事件

事件の表示

H26.9.11 知財高裁 平成26年(行ケ)10072

判決のポイント

画像意匠の創作容易性の判断において,再生されながら表示される複数の動画の画像自体が意匠法2条2項に規定する操作画像に該当するかが争われた。

参照条文

意匠法2条2項 意匠法3条2項

Key Word

創作容易性,物品の操作の用に供される画像

オタク婚活事件

事件の表示

H26.5.14 知財高裁 平成25年(行ケ)10341

判決のポイント

登録された商標が異議申立手続により商標法3条1項3号に該当し,同条2項には該当しないとして登録取消とされた異議決定が維持された

参照条文

商標法3条1項3号 商標法3条2項 商標法43条の2

Key Word

記述的商標 異議申立

頭蓋骨図形事件

事件の表示

H26.11.26 知財高裁 平成26年(行ケ)10127

判決のポイント

本件商標が引用商標と非類似である旨の原告の主張は,当事者及び本件商標と引用商標の類否という争点を共通にする既に確定した別件審決取消訴訟を蒸し返すものといえ,訴訟上の信義則に反し,許されないとして,訴えが却下された。

参照条文

商標法4条1項11号 民事訴訟法2条 民事訴訟法114条

Key Word

訴訟上の信義則,既判力の範囲,商標の類否

ランドリータイム事件

事件の表示

H26.7.17 知財高裁 平成26年(行ケ)10036

判決のポイント

譲渡契約締結後に譲受人が商標の使用をしている場合,商標権の移転登録が成立していなくても,通常使用権を許諾する旨の黙示の合意はあるとして,通常使用権者としての使用を認め,不使用による登録取消をした審決を覆した。

参照条文

商標法50条1項 商標法50条2項 商標法35条

Key Word

不使用取消, 営業譲渡契約書,通常使用権許諾の黙示の合意

車両用監視装置事件

事件の表示

H26.4.10 東京地裁 平成24年(ワ)4028

判決のポイント

本件明細書及び引用文献に直接記載されていない周知,自明の課題が認定された。そして,この課題に基づいて当業者は本件発明を容易に想到することができたので,本件特許は無効にされるべきと判示された。

参照条文

特許法29条2項 特許法123条

Key Word

容易想到性,課題の共通性

コンテンツ提供システム事件

事件の表示

H26.12.11 大阪地裁 平成25年(ワ)3480

判決のポイント

曾孫出願に係る本件特許の請求項1には「マルチエージェント」が記載されていないが,出願の経緯から判断すると,本件特許の請求項1における「エージェント」は,原出願における「マルチエージェント」と解釈すべきであるとし,非侵害であると判断された。

参照条文

特許法44条1項 特許法44条2項 特許法70条1項 特許法70条2項

Key Word

技術的範囲,分割出願,分割要件,サポート要件

マキサカルシトール製造方法事件

事件の表示

H26.12.24 東京地裁 平成25年(ワ)4040

判決のポイント

化学物質の製造方法に係る特許において,特許請求の範囲に記載された工程を,特許請求の範囲に規定された原料化合物の幾何異性体に適用し,その後追加の工程において目的とする化学物質に変換する迂回方法について,鍵となる反応が同一であるとして,均等侵害が認められた。

参照条文

特許法68条1項 特許法100条1項

Key Word

迂回方法,均等侵

Cu-Ni-Si系銅合金条事件

事件の表示

H26.6.24 東京地裁 平成24年(ワ)15613

判決のポイント

被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するというために,X線回折強度について,積分強度法とピーク強度法のいずれにおいても本件発明の数値限定の範囲内にある必要があり,かつ,被告各製品の全ての部位において本件発明の構成要件を充足しなければならない,とされた。

参照条文

特許法70条 特許法100条1項

Key Word

H26.6.24 東京地裁 平成24年(ワ)15613

端面加工装置控訴事件

事件の表示

H26.4.8 知財高裁 平成25年(ネ)10107

判決のポイント

明細書中に定義されていないクレームの用語は実施形態に記 載された具体的な内容に限定されるべきであるとの控訴人の主張が退けられた。

参照条文

特許法70条1項 特許法70条2項 特許法100条

Key Word

用語の意義,機能的クレーム,包袋禁反

ピタバスタチンカルシウム塩結晶事件

事件の表示

H27.1.27 東京地裁 平成25年(ワ)33993

判決のポイント

X線粉末解析において複数の回折角にピークを有するという構成要件を充足するためには,被疑侵害品の回折角の数値が当該複数のピークのすべてと一致することが必要であると判断された。

参照条文

特許法70条項 特許法70条2項 特許法100条1項

Key Word

技術的範囲,明細書の記載,X線粉末解析,回折角の値

個人情報保護システム事件

事件の表示

H26.10.16 大阪地裁 平成25年(ワ)4103

判決のポイント

個人情報保護システム事件

参照条文

特許法70条2項

Key Word

課題・効果の参酌

データ送信方法及びデータ送信装置(アップル対サムスン)控訴事件等

事件の表示

H26.5.16 知財高裁 平成25年(ネ)10043(事件1)
同平成25年(ラ)10007(事件2)
同平成25年(ラ)10008(事件3)

判決のポイント

データ送信方法及びデータ送信装置(アップル対サムスン)控訴事件等

参照条文

特許法100条 特許法100条1号 民法1条3項 民法709条

Key Word

1号製品,消尽,標準規格,FRAND宣言,権利濫

スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法事件

事件の表示

H26.7.10 東京地裁 平成24年(ワ)30098

判決のポイント

本件特許の請求項に記載されていないホウ酸添加工程を伴う被告の製造方法が,当該特許発明の構成要件を充足すると判断された。。

参照条文

特許法100条1項 特許法100条2項 特許法102条3項

Key Word

構成要件の充足性,実施料

SHIPS事件

事件の表示

H26.11.14 東京地裁 平成25年(ワ)27442(甲事件)
H26.11.14 東京地裁 平成25年(ワ)34269(乙事件)

判決のポイント

被告商品のデザインの一部に表示された被告標章の使用が,その表示態様に加え,本件商標の周知性を理由に,商標的使用と認められた。

参照条文

商標法3条3項 商標法37条1号

Key Word

商標的使用,出所表示機能,周知商標

バーキン立体商標事件

事件の表示

H26.5.21 東京地裁 平成25年(ワ)31446

判決のポイント

立体商標の商標権侵害に関する初めての判決で,立体商標と平面商標の類否判断は,「一又は二以上の特定の方向(所定方向)」から見た特徴を比較して行うことが示された。

参照条文

商標法36条1項 商標法38条2項 商標法39条 特許法103条 不正競争防止法2条1項1号 不正競争防止法2条1項2号 不正競争防止法3条1項 不正競争防止法4条 不正競争防止法5条2項 民法709条

Key Word

立体商標,類否の判断基準,所定方向,看者の視覚に映る外観,商品等表示,周知性,誤認混同,信用毀損

DS用マジコン控訴事件

事件の表示

H26.6.12 知財高裁 平成25年(ネ)10067

判決のポイント

ゲーム機の技術的制限手段を妨げる機能を有するマジコン製品の販売行為の差止めと損害賠償の請求を認めた原判決に対する控訴が棄却された。

参照条文

不正競争防止法2条1項10号 旧不正競争防止法2条1項(H23改正前)

Key Word

技術的制限手段,検知→可能方式

業務用脱臭装置事件

事件の表示

H26.5.16 東京地裁 平成23年(ワ)40428(本訴)
H26.5.16 東京地裁 平成24年(ワ)5243(反訴)

判決のポイント

本件表示における脱臭装置の「触媒」に関する説明は,化学的な裏付け又は説明可能性を欠き,品質等誤認表示であるので賠償責任が生じるが,脱臭効果等の他の説明に品質等誤認表示はなく,損害額の推定覆滅事由が認められた。

参照条文

不正競争防止法2条1項13号 不正競争防止法2条1項14号 不正競争防止法5条2項

Key Word

品質等誤認表示,触媒作用,損害額の推定覆滅

自炊代行控訴事件

事件の表示

H26.10.22 知財高裁 平成25年(ネ)10089

判決のポイント

事業者が顧客の求めに応じて顧客の所有する書籍を電子ファイル化した場合,有形的再製を実行している事業者が複製の主体であり,かつ,独立した複製代行業者のサービスは利用者の私的複製過程への外部の者の介入であるから,顧客による私的利用のための複製には該当しない。

参照条文

著作権法2条1項15号 著作権法21条 著作権法30条1項

Key Word

スキャン,自炊,裁断,電子ファイル,複製主体,私的複製

絵画鑑定証書事件

事件の表示

H26.5.30 東京地裁 平成22年(ワ)27449

判決のポイント

絵画の著作物の鑑定証書に付した原画のコピーが引用と認められて著作権侵害ではないとされた。

参照条文

著作権法21条 著作権法32条1項

Key Word

複製権,鑑定証書,引用,総合考慮,フェアユース

Gnutellaネットワーク発信者情報開示請求事件

事件の表示

H26.6.25 東京地裁 平成26年(ワ)3570

判決のポイント

プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求において,ファイル交換ソフトにより対象ファイルが送信された時刻にプロバイダから割当てられた該当IPアドレスを使用してインターネットに接続する権限を有していた契約者が発信者と認められた。

参照条文

ロバイダ責任制限法2条4項 著作権法96条の2

Key Word

送信可能化権,発信者該当性,プロバイダ責任制限法

女性芸能人肖像写真事件

事件の表示

H27.1.29 東京地裁 平成26年(ワ)7213

判決のポイント

最高裁(ピンクレディーdeダイエット事件)が示した判断基準に基づき本件記事における肖像写真の使用につきパブリシティ権の侵害を否定したが,人格的利益の侵害は認めた。

参照条文

民法709条 民法715条 会社法429条1項 会社法350条

Key Word

著名人の氏名・肖像(写真)の使用,パブリシティ権,人格権,人格的利益

物流支援システム控訴事件

事件の表示

H27.2.26 知財高裁 平成26年(ネ)10025

判決のポイント

時機に後れた攻撃防御方法による却下申立てが認められず,相応の対価の額が見直された。

参照条文

民事訴訟法157条1項

Key Word

合意に基づく対価請求権,時機に後れた攻撃防御方