商品を桝目で選択するプログラムを活用した販売方法事件
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H17.12.8 知財高裁 平成17年(行ケ)10393
判決のポイント
出願当初の明細書等には記載されていない「プログラムが共通事項をまとめて表示する。」,「プログラムが桝目の縦軸,横軸の条件に合った商品を商品一覧表に表示し特定する。」という事項の補正は,新規事項に該当しない。
参照条文
特許法17条の2 3項 特許法53条1項 特許法121条1項
Key Word
新規事項,自明な事項,補正
表面筋状薄肉こんにゃく事件
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H17.6.30 知財高裁 平成17年(行ケ)10061
判決のポイント
本件考案と同一内容のこんにゃく(発見品)は,本件実用新登録出願の出願日より前に製造され,その後,公然実施された。
参照条文
実用新案法3条1項2号 実用新案法37条1項
Key Word
公然実施
ディスプレイ一体型通信装置事件
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H17.6.29知的財産高裁 平成17年(行ケ)10034
判決のポイント
審理判断されなかった公知事実を立証しようとする証拠は本訴において提出不可であるが,周知の技術事項を立証するための証拠は本訴において提出可能とした。
参照条文
特許法29条2項 特許法121条1項
Key Word
進歩性の判断,本願発明の認定の誤り,周知事項の立証
多重フロー免疫検定事件
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H17.6.30 知財高裁 平成17年(行ケ)10114
判決のポイント
原告が提示した論文の記載は,優先日当時の周知慣用技術に見受けられる問題点を指摘したものにすぎず,当該技術の使用自体を一般的に否定するものではないとして,技術的阻害要因が存在していた旨の原告の主張が否定され,進歩性がないとの審決が維持された。
参照条文
特許法29条2項 特許法121条1項
Key Word
阻害要因,発明の構成に基づかない主張
炭酸飲料用ボトルの製造方法事件
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H17.10.6 知財高裁 平成17年(行ケ)10366
判決のポイント
本件発明と甲4発明との相違点1,2を認定した上で,相違点2について容易に想到し得ないと判断し,相違点1については判断するまでもなく,本件特許を無効とすることはできないとの審決を覆すとともに,相違点1の容易想到性についての判断も示した。
参照条文
特許法29条2項 特許法123条1項
Key Word
動機付け,容易想到性,裁判所と特許庁間の行き来の回避
食品包装用ストレッチフィルム事件
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H17.9.26 知財高裁 平成17年(行ケ)10222
判決のポイント
パラメータ発明と引用発明との相違点が当該パラメータであって,それに一致する記載が他の引用例にあっても,それらを組み合わせる動機付けが存在しかつそれを達成するための具体的な手段が当業者に知られていたとはいえない以上,発明に容易に想到したとはいえない。
参照条文
特許法29条2項 旧特許法113条1項
Key Word
パラメータ,数値範囲,動機付け
根管長測定器事件
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H17.6.7 知財高裁 平成17年(行ケ)10107
判決のポイント
別件での被告主張を考慮しても記載不備はない。別件と異なる主張であっても信義則違反となるわけではない。
参照条文
旧特許法36条3項 旧特許法36条4項2号 特許法123条1項
Key Word
記載要件,訴訟上の信義則
耐摩耗性皮膜被覆部材事件
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H18.3.22 知財高裁 平成17年(行ケ)10296
判決のポイント
優先権主張が認められる範囲を認定するための判断構造と,優先権の基礎出願に記載された発明と刊行物に記載された発明との間の事実関係の認定とに,それぞれ審決の結論に影響する違法性があるとして,審決が取り消された。
参照条文
旧特許法42条の2 1項柱書(特許法41条1項柱書) 特許法29条1項及び2項 特許法123条1項
Key Word
優先権主張,発明の範囲,刊行物に記載された発明
眼灌流・洗浄液バッグ包装体事件
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H17.11.16 知財高裁 平成17年(行ケ)10184
判決のポイント
医薬品についての薬事法上の承認として,特許権者である原告が受けた処分に先立つ,第三者が受けた処分が存在したことを理由に,本件特許について存続期間の延長登録を受けることはできないとされた。
参照条文
特許法67条2項 特許法67条の3 1項1号 特許法68条の2 薬事法14条1項
Key Word
存続期間の延長登録,薬事法に規定する医薬品に係る承認
既存データベース機能向上支援ツール事件
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H17.7.19 知財高裁 平成17年(行ケ)10321
判決のポイント
請求項に記載の用語が明細書中に直接記載されていなくても明細書全体から読み取れる場合には開示要件を満たすとされた。
参照条文
旧特許法134条2項3号 旧特許法36条5項1号及び2号 特許法123条1項
Key Word
記載不備,明りょうでない記載の釈明
自動車用タイヤ事件
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H17.6.15 知財高裁 平成17年(行ケ)10036
判決のポイント
対比される意匠に周知あるいは公知の共通した構成が含まれているとしても当該構成を捨象して類否判断してはならず,また,審決で直接的に言及されなかった本願意匠と引用意匠の差異点についても,原告主張の差異点は審決認定の差異点に包含されているから差異点の看過には当らないとされた。
参照条文
意匠法3条1項3号 意匠法46条1項
Key Word
差異点の看過,周知又は公知の形状の除外
Kranzle事件
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H18.1.26 知財高裁 平成17年(行ケ)10668
判決のポイント
外国製造販売元の同意又は承諾を受けずに,あるいは正当な理由もなく出願して登録を受けた,日本の輸入販売会社の商標登録を無効と判断した審決が維持された。
参照条文
商標法4条1項7号 商標法46条1項
Key Word
商標法4条1項7号の解釈,販売代理店契約,営業補助者,社会的妥当性,不正の目的,取引秩序,国際信義
VALENTINO事件
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H17.7.11 最高裁第二小法廷 平成15年(行ヒ)353
判決のポイント
商標法4条1項15号違反を理由とする無効審判の請求が除斥期間に有効になされたものであるというためには,除斥期間内に提出された審判請求書に,当該商標登録が同号に違反する旨の記載がありさえすればよい。
参照条文
商標法4条1項15号 商標法46条1項 商標法47条 準特許法131条 準特許法133条
Key Word
無効審判,除斥期間,審判請求書,請求の理由,手続補正
ピザフランチャイズ不使用取消事件
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H17.12.20 知財高裁 平成17年(行ケ)10096
判決のポイント
登録商標が日本国内で使用されていないことに関し,正当な理由があるとして登録を維持した不使用取消審判の審決が,商標権者の責めに帰することができない特別な事情があったとは認められず,正当な理由がないとして取り消された。
参照条文
商標法50条1項及び2項 商標法2条3項8号
Key Word
商標の使用日本国内における使用正当な理由
スロットマシン事件
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H17.7.7 東京地裁 平成16年(ワ)3905
判決のポイント
特許請求の範囲と発明の詳細な説明における用語の不統一について,詳細な説明の記載が参酌され,詳細な説明に記載された意義通りに認定された。
参照条文
特許法70条2項 特許法100条
Key Word
発明の詳細な説明の参酌,出願経過の参酌
除湿装置事件
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H18.3.29 東京地裁 平成17年(ワ)1104
判決のポイント
特許請求の範囲の文言を本件発明に対応する実施例の作用効果に基づいて解釈したうえで,被告製品は本件発明の構成要件を充足しないとした。
参照条文
特許法70条1項及び2項 特許法100条
Key Word
特許発明の技術的範囲,発明の詳細な説明の参酌
道路照明装置事件
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H17.12.8 大阪地裁 平成17年(ワ)310
判決のポイント
特許請求の範囲に記載された「複数個を長手方向連続的に」の意味を,本件明細書や出願経過を参酌し,特に発明の作用効果に注目して解釈され,被告製品は構成要件を充足しないと判断された。
参照条文
特許法70条2項 特許法101条2号 特許法100条
Key Word
技術的範囲,作用効果の参酌,出願経過の参酌
鉄骨柱の傾き調整装置事件
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H17.4.21 大阪地裁 平成年16(ワ)10541
判決のポイント
複数の実施形態を含む機能的に表現された請求項の構成要件を,意見書で主張された作用を奏する実施形態に限定して解釈した。
参照条文
特許法70条1項
Key Word
技術的範囲,意識的除外,出願経過禁反言
施工面敷設ブロック事件
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H17.12.28 知財高裁 平成17年(ネ)10103
判決のポイント
特許請求の範囲に記載された「ブロック」には,「自然石」は含まれないとして侵害が否定された。
参照条文
特許法70条2項
Key Word
請求の範囲の記載,用語の解釈
炭酸飲料用ボトルの製造方法事件
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H17.10.11 大阪地裁 平成16年(ワ)3265
判決のポイント
移動金型を後退させた状態とは,明細書の記載を参酌すると金型がパリソンよりも外側に離隔された状態であるなど,明細書の記載に基づいた判断がなされた。
参照条文
特許法70条1項及び2項 特許法101条3項 特許法100条
Key Word
方法特許,明細書の記載,ボトル,ブロー成型,工程
図形表示装置事件
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H17.12.27 東京地裁 平成15年(ワ)23079
判決のポイント
特許請求の範囲の記載が一義的に明確でない用語を含み,明細書に唯一の実施例以外に十分な開示がない場合に,実施例の記載を考慮して解釈せざるを得ないとされた。
参照条文
特許法70条1項及び2項 特許法36条6項1号 特許法36条4項1号
Key Word
唯一の実施例,特許請求の範囲の解釈,一義的に明確でない
モンキーレンチ事件
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H17.7.28 大阪地裁 平成16年(ワ)9318
判決のポイント
各種図面の作成や意匠出願の準備の事実から被告製品に係る考案の完成を認定し,先使用権を認めた。
参照条文
準特許法79条
Key Word
先使用権,先使用権の範囲,事業の準備
液体充填装置におけるノズル事件
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H17.9.29 知財高裁 平成17年(ネ)10006
(原審H15.12.26 東京地裁 平成15年(ワ)3237)
判決のポイント
液体充填機におけるノズルの寄与率を勘案して,液体充填装置のノズルの特許権の侵害による損害額が算定された。
参照条文
特許法102条1項及び2項 民事訴訟法157条1項
Key Word
寄与率,損害額の算定,特許法102条1項に基づく算定の追加主張
車両用ホイールのスピニング成形用素材事件
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H17.7.27 東京地裁 平成16年(ワ)27008
判決のポイント
請求の範囲に記載された用語の意義を,明細書に記載された実施例に限定することなく広く解釈した上で,特許発明は先行技術と同一であり,新規性を欠如するとした。
参照条文
特許法29条1項3号 特許法104条の3 1項
Key Word
特許請求の範囲に記載された用語の意義,新規性の欠如
DVD用レンタルケース事件
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H17.9.5 大阪地裁 平成16年年(ワ)12860
判決のポイント
明細書の記載・従来技術の明細書等の記載から,特許発明と従来技術との差異の程度を認定し,本件発明は,引用例に記載された発明と認められるから,被疑侵害品の本件特許の技術的範囲の該当性を論ずるまでもなく,特許無効審判により無効とされるべきであるから,侵害は成立しないとした。
参照条文
特許法70条 特許法29条1項3号 特許法100条 特許法104条の3 1項
Key Word
技術的範囲,無効理由
土木工事用レーザ測定器事件
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H17.8.30 知財高裁 平成17年(ネ)10069
判決のポイント
控訴人らの特許発明が,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,本訴請求に係る権利を行使することができないとして控訴人らの請求が棄却された。
参照条文
特許法100条 特許法102条3項 特許法123条1項6号 特許法29条2項 特許法104条3項
Key Word
発明の要旨の認定,無効理由,無効の抗弁,冒認出願
電話番号リストのクリーニング装置事件
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H17.11.1 東京地裁 平成17年(ワ)10394
判決のポイント
前訴における紛争の蒸し返しであり信義則に反し,前訴確定判決の既判力に触れるとして,刺止請求は棄却され,損害賠償請求は却下された。
参照条文
特許法100条 民法1条2項 民事訴訟法2条 民事訴訟法114条1項
Key Word
紛争の蒸し返し,訴訟上の信義則,前訴確定判決の既判力
クルマの110番事件
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H17.12.8 大阪地裁 平成16年(ワ)12032
判決のポイント
インターネット上のメタログに記載し,検索サイトに表示させる行為が商標権侵害とされ,被告の損害不発生の抗弁は認められなかった。
参照条文
商標法37条 商標法38条3項 準特許法104条の3 1項
Key Word
インターネット上の表示,損害不発生の抗弁,使用料相当額
コンベックス事件
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H17.9.5 大阪地裁 平成16年(ワ)2398(本訴)
H17.9.5 大阪地裁 平成17年(ワ)1891(反訴)
判決のポイント
被告が弁論準備手続終了後に求めた調査嘱託に対して,計画審理の観点から不適切であるとしつつ限定的に認めその結果を得た後に,被告がさらに新たな主張立証を求めたため,判決をするのに熟したとして審理が終結された。
参照条文
商標法38条3項 民事訴訟法62条後段
Key Word
調査嘱託,計画審理
PTPシート装填カプセル事件
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H18.2.24 東京地裁 平成17年(ワ)5655
判決のポイント
ジェネリック医薬品が先発医薬品に類似した外観を採用することは,不正競争防止法の観点から,望ましいことではないとし,医療用医薬品であっても,不正競争防止法2条1項1号の要件を満たすことはありうるとした。
参照条文
不正競争防止法2条1項1号 不正競争防止法3条
Key Word
ジェネリック,TPシート,カプセルの商品等表示該当性
ノースリーブ型カットソー事件
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H17.12.5 知財高裁 平成17年(ネ)10083
判決のポイント
不正競争防止法2条1項3号により保護される商品形態とは商品全体の形態であり,独創的な形態である必要はない。「同種商品が通常有する形態」であるか否かは,商品の個々の部分の形状が,販売前既に他の商品に使用されていたか否かではく,商品を全体として観察し,判断すべきである。
参照条文
不正競争防止法2条1項3号
Key Word
同種商品が通常有する形態,商品の形態の模倣
選撮見録事件
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H17.10.24 大阪地裁 平成17年(ワ)488
判決のポイント
原告の著作隣接権の侵害主体ではないと認定された被告に対して,侵害行為の差止請求との関係では被告商品の販売行為を直接の侵害行為と同視できるとし,著作権法112条1項を類推適用して差止が認められた。
参照条文
著作権法2条1項9号の5 著作権法112条
Key Word
送信可能化,侵害主体性,侵害の間接的関与者の責任
空調機器講習テキスト事件
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H18.2.27 東京地裁 平成17年(ワ)1720
判決のポイント
空調機器の技術講習のテキストについて,前年度テキストに基づいて改訂版を作成した際の同一性保持権侵害に関し,年度毎に更新が必要であるというテキストの性質上,最新情報の追加や,これに伴うページ増加を回避するための事例削除については同一性保持権が及ばない旨の判断がなされた。
参照条文
著作権法19条 著作権法20条 著作権法15条1項 著作権法112条
Key Word
職務著作,複製の許諾,氏名表示,講習テキストの同一性
ガス栓職務発明事件
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H17.7.21 大阪地裁 平成16年(ワ)10514
判決のポイント
職務発明の対価を決定するのに,独占排他権によって得ることができた額である超過実施分,その中の実施料分,企業の貢献分等を用いた。
参照条文
特許法35条
Key Word
職務発明,相当の対価,補償金請求権,開発リスク
特許権譲渡代金請求事件
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H18.3.29 東京高裁 平成17年(ネ)10117
判決のポイント
製薬会社の従業員であった控訴人が,特許法35条3項の規定に基づく相当の対価の支払いを求めたが,真の発明者(共同発明者)ではないとして,棄却された。
参照条文
特許法35条1項及び3項
Key Word
職務発明,真の共同発明者
プリント配線板用印刷インキ事件
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H17.10.21 東京地裁 平成17年(ワ)14441
(控訴審 H18.2.28 知財高裁 平成17年(ネ)10120)
判決のポイント
仲裁合意の存在により,訴えが不適法として却下された。
参照条文
仲裁法13条 仲裁法14条
Key Word
仲裁合意,契約解除,無効審判
ケース事件
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H17.9.14 知財高裁 平成17年(行ケ)10220
判決のポイント
並列係合溝に係合する係合部材を構成要件としていなくても,当業者にその構成と機能ないしは作用効果とを認識させることができるから,特許請求の範囲の記載に不備はないとされた。
参照条文
特許法17条の2 3項 特許法29条2項 特許法36条4項及び6項 特許法123条1項
Key Word
明細書の記載不備,補正要件違反,進歩性欠如
情報記録システム及び装置事件
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H17.11.10 知財高裁 平成17年(行ケ)10125
判決のポイント
引用発明との相違点をなす構成要素を周知技術と見誤っている。動機付けなしで本構成要素を採用することもできない。
参照条文
特許法29条2項 特許法121条1項
Key Word
進歩性,引用発明との相違点,動機付け,発明の構成要素
配列型超音波探触子事件
事件の表示
H17.10.13 知財高裁 平成17年(行ケ)10332
判決のポイント
特許請求の範囲の記載から発明を一義的に明確に理解することができないとして,明細書及び図面を参酌して文理的解釈を行い,発明の要旨を認定した。
参照条文
特許法29条2項 特許法121条1項
Key Word
請求項の記載,明細書及び図面の参酌,発明の要旨認定
ファクシミリ送信システム事件
事件の表示
H18.3.13 知財高裁 平成17年(行ケ)10596
判決のポイント
刊行物に記載の技術が引用発明に対してそのまま適用できない事情がある場合,通常はその事情が阻害要因となってその適用に基づいて進歩性が否定されることはないが,本判決では,その事情が阻害要因として認められず,進歩性が否定された。
参照条文
特許法29条2項 特許法123条1項
Key Word
阻害要因,進歩性判断,ソフトウェア関連発明
延伸成形容器事件
事件の表示
H17.6.2 知財高裁 平成17年(行ケ)10112
判決のポイント
発明が解決すべき課題が新規である以上,引用刊行物には当該新規の課題との関係において数値範囲を最適化した特定の構成要件を備えようとする動機付けは存在しないとして,進歩性を否定した特許庁の特許取消決定が取り消された。
参照条文
特許法29条2項 旧特許法113条1項
Key Word
新規の課題,動機付け,数値範囲の最適化,進歩性
トレハロース含有シラップ事件
事件の表示
H17.10.13 知財高裁 平成17年(行ケ)10302
判決のポイント
審決取消訴訟の係属中に原告が請求した訂正審判によって訂正された明細書が発明の詳細な説明の記載要件を充足しているか否かについて,被告の主張立証も経たうえで特許庁で審理判断すべきとして,特許無効審決を取り消した。
参照条文
旧特許法36条4項 特許法123条1項 特許法126条1項 特許法128条
Key Word
記載要件,訂正認容審決確定
偏光フィルムの製造法事件
事件の表示
H17.11.11 知財高裁 平成17年(行ケ)10042
判決のポイント
特許出願後に実験データを提出して発明の詳細な説明の記載内容を記載外で補足し,明細書のサポート要件に適合させることは,発明の公開を前提に特許を付与するという特許制度の趣旨に反し許されない,とされた。
参照条文
旧特許法36条5項1号 旧特許法113条1項
Key Word
パラメータ発明,サポート要件,記載不備
緑化吹付け資材及び緑化吹付け方法事件
事件の表示
H18.1.19 知財高裁 平成17年(行ケ)10193
判決のポイント
冒認出願を理由とする無効審判においては,出願人ないしその承継者である特許権者が冒認出願でないことの主張立証責任を負担すべきとされた。
参照条文
特許法123条1項6号
Key Word
冒認出願,主張立証責任の分配
半導体発光装置事件
事件の表示
H17.9.12 知財高裁 平成17年(行ケ)10211
判決のポイント
半導体発光装置を現に製造販売し営業権を保有する事業者でなくても,本件審決に係る無効審判の請求人として自らに不利益な結論とのなる審決を受けたのであるから,本件審決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するとされた。
参照条文
特許法123条1項及び2項 特許法178条2項 特許法29条2項
Key Word
原告適格,周知技術,動機付け,一体不可分な技術事項
コネクター接続端子事件
事件の表示
H18.3.31 東京高裁 平成17年(行ケ)10679
判決のポイント
具体的な形態が肉眼で観察できないほど微小な意匠であっても,取引に際して拡大観察することが通常である場合には,これに保護を及ぼす必要性は高い。
参照条文
意匠法3条1項柱書 意匠法2条1項 意匠法46条1項 意匠法6条3項 意匠法68条6項
Key Word
意匠審査基準,肉眼観察,取引の実情,拡大観察
UVmini事件
事件の表示
H18.3.9 知財高裁 平成17年(行ケ)10651
判決のポイント
商標「UVmini」は外観,称呼について一体的に把握することが可能であり,その結果,一体として「紫外線」に関連する小型の商品であるという観念が生じることから,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり,商標法3条1項6号に該当しない。
参照条文
商標法3条1項3号 商標法3条1項5号 商標法3条1項6号 商標法44条1項
Key Word
自他商品識別力,商標の観念,一体不可分性
国際自由学園事件
事件の表示
H18.12.27 知財高裁 平成17年(行ケ)16013
判決のポイント
商標法4条1項8号の「著名な略称」に該当するか否かは,需要者のみを基準とすることなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準とすべきとの上告審判決の差戻理由に従い,審決が取り消された。
参照条文
商標法4条1項8号 商標法46条1項
Key Word
著名な略称,著名性認定の範囲,差し戻し
eAccess事件
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H17.7.14 最高裁第一小法廷 平成16年(行ヒ)4
判決のポイント
拒絶審決に対する審決取消訴訟係属中になされた分割出願に伴う原出願の指定役務を削除する補正の効果が,商標登録出願の時にさかのぼって生じることがない旨が判示された。
参照条文
商標法10条1項及び2項 準特許法施行規則30条 商標法68条の40 1項 商標法44条1項
Key Word
分割出願,補正の効果
インクタンク事件
事件の表示
H18.1.31 知財高裁 平成17年(ネ)10021
判決のポイント
インクジェットプリンタ用インクタンクの使用済み品に,インクを再充填するなどして製品化されたリサイクル品につき特許権に基づく差止請求権等を行使することが許されるとされた。
参照条文
特許法2条3項 特許法68条 特許法100条
Key Word
消尽,生産,修理,リサイクル品
排気口フィルター事件
事件の表示
H17.10.27 知財高裁 平成17年(ネ)10066
判決のポイント
「鉤状突起」の用語の意義を広く解釈したうえで,公知技術を参酌して被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属さないとした。
参照条文
特許法70条1項及び2項 特許法100条
Key Word
技術的範囲,公知部分除外説
共振ラベル事件
事件の表示
H17.6.16 知財高裁 平成17年(ネ)10052
判決のポイント
被控訴人製品に存在する「亀裂」は偶発的に形成されたものであり,本件特許の特許請求の範囲に記載された「貫通切込み又は貫通孔」には該当しないと判断された。
参照条文
特許法70条2項 特許法100条
Key Word
発明の詳細な説明の参酌,作用効果の参酌
チップソー等の研磨機事件
事件の表示
H17.9.22 大阪地裁 平成16年(ワ)11096
判決のポイント
明細書の記載から特許発明の技術的意義,構成要件の意味を認定し,イ号物件はかかる構成要件を充足していないから,本件発明の技術的範囲に属さず,特許無効性等を論ずるまでもなく侵害は成立しないとした。
参照条文
特許法70条1項及び2項 特許法100条
Key Word
技術的範囲
流動床式ガス化溶融炉事件
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H18.1.20 東京地裁 平成16年(ワ)17304
判決のポイント
複数の特許権に基づき生産等の差止めを求めたが,被告製品 は技術的範囲に属さず,かつ,本件各発明は無効にされるべきものであるとされた。
参照条文
特許法29条2項 特許法100条 特許法104条の3 1項
Key Word
進歩性,阻害事由
頭髪処理促進装置事件
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H17.9.26 大阪地裁 平成15年(ワ)13703
判決のポイント
特許請求の範囲の形状表現である「半円形状」について,完全な半円形状でなくても,発明の効果を奏する範囲内での変形についても含まれると判断された。
参照条文
特許法70条1項及び2項 特許法100条 特許法102条
Key Word
技術的範囲,明細書の記載,半円形状,ほぼ,略,実質的
回転ブラシ事件
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H17.5.23 知財高裁 平成17年(ネ)10036
判決のポイント
特許請求の範囲に記載されている用語が不明確である場合,発明の詳細な説明に記載されている発明の作用効果の記載を考慮して判断すべきであり,また,特許請求の範囲の記載を離れて技術的範囲を論ずることはできないと認定された。
参照条文
特許法70条1項及び2項
Key Word
特許請求の範囲の記載,発明の作用効果,技術的範囲
タッチスイッチ事件
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H17.9.5 大阪地裁 平成16年(ワ)7239
判決のポイント
明細書に記載されたJIS規格にしたがって被告製品の「平均十点粗さ」を測定すると,ほとんどの測定点で測定値が算出できず,算出できた測定点の測定値も請求項で限定した数値の範囲外であり,被告製品は非侵害であると認定された。
参照条文
準特許法70条1項及び2項
Key Word
数値限定発明,技術的範囲
一太郎事件
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H17.9.30 知財高裁 平成17年(ネ)10040
判決のポイント
控訴審で初めて提出された証拠でも,一定の条件を満たしていれば,証拠として採用され,本件発明はこの証拠から容易推考であって,無効にされるべきであり,特許権を行使することはできないと判断された。
参照条文
特許法101条2号及び4号 特許法104条の3 1項 特許法29条2項 民事訴訟法157条1項
Key Word
間接侵害,進歩性,権利濫用,時機に後れた攻撃防御方法
キャスター付きの鞄事件
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H17.11.10 大阪地裁 平成16年(ワ)14709
判決のポイント
「中央に位置」するという意味は,その周辺位置を含まない。
参照条文
特許法29条2項 特許法70条1項及び2項 特許法100条
Key Word
技術的範囲,進歩性,無効理由
耐震,耐風瓦工法事件
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H17.11.29 知財高裁 平成17年(ネ)10024
判決のポイント
原審において差止請求等を認めず,権利濫用に該当するとされた控訴人による控訴事件において,新設の特許法第104条の3第1項により無効審判により無効にされるべきものと判断された。
参照条文
特許法29条2項 特許法70条1項及び2項 特許法104条の3 1項 特許法100条
Key Word
技術的範囲,差止請求,損害賠償,進歩性,無効審判
塑性加工用潤滑油剤事件
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H18.3.29 東京地裁 平成15年(ワ)23943
判決のポイント
特許権に基づく侵害差止請求が,当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものであるとして,棄却された。
参照条文
特許法29条2項 特許法104条の3 1項 特許法100条
Key Word
進歩性,特許法104の3第1項,数値限定
中空糸膜濾過装置事件
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H18.4.21 東京高裁 平成17年(ネ)10005
(原審 H15.7.30 東京地裁 平成14年(ワ)2473)
判決のポイント
侵害訴訟の判決言い渡し前に無効審判で請求不成立審決が出されたが,侵害訴訟では特許に無効理由が存するとして請求が棄却され,その控訴審でも同じ理由で控訴は棄却された。
参照条文
特許法104条の3 1項 特許法70条1項 特許法29条2項 特許法126条1項1号
Key Word
技術的範囲,無効審判,権利行使の制限
化粧用パフ事件
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H17.12.15 大阪地裁 平成16年(ワ)6262
判決のポイント
パフは元来「おしろいを塗布するのに使用するもの」であるが,「おしろい等の化粧や汚れを落とす」機能を併せ持つから,イ号物件と物品が類似する。
参照条文
意匠法2条1項 意匠法37条1項 意匠法23条
Key Word
物品の類否,物品の用途・機能,意匠の要部
TOMY事件
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H18.2.21 東京地裁 平成16年(ワ)11265
判決のポイント
商標権侵害の損害額を算定するにあたり,本件商品表面にあるキャラクターの顧客吸引力が大きいことを考慮して,本件商標(商品裏面にある製造元表示)の販売利益に対する商標寄与率として20%が認定された。
参照条文
商標法38条2項 商標法38条3項 準特許法103条
Key Word
侵害行為の過失の有無,共同不法行為責任,固定費と変動費キャラクター商品の商標寄与率
UNO PER UNO事件
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H17.7.14 大阪高裁 平成17年(ネ)248
判決のポイント
過失推定の始期は商標公報発行の翌日であり,商標公報発行前使用開始にあたって使用商標と同一又は類似の登録商標の不存在の確認をしたからといって過失推定は覆滅されない。
参照条文
準特許法103条 商標法38条3項 商標法26条1項1号
Key Word
過失の推定,顧客吸引力,自己の氏名等の使用
バイオセリシン石鹸事件
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H17.9.26 大阪地裁 平成16年(ワ)12713(本訴)
H17.9.26 大阪地裁 平成17年(ワ)2470(反訴)
判決のポイント
不正競争防止法2条1項1号に規定する商品等表示の周知性を,商品の販売実績及び地域の面から判断し,同法2条1項14号に規定する虚偽の事実を,告知文書に直接的に記載されてはいないが間接的に推認される事項に基づいて判断した。
参照条文
不正競争防止法2条1項1号及び14号 不正競争防止法3条
Key Word
標章の周知性,営業誹謗行為,虚偽事実の告知
ソフトブラスター事件
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H17.12.27 知財高裁 平成17年(ラ)10006
判決のポイント
不正競争防止法に基づく差止請求の準拠法について条理により決するのが相当とし,判旨記載の事情を考慮して日本法を準拠法とした。
参照条文
法例11条 不正競争防止法2条1項14号 不正競争防止法3条1項
Key Word
不正競争,差止請求,準拠法
衛星解析プログラム事件
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H17.12.12 東京地裁 平成12年(ワ)27552
判決のポイント
職務著作に規定される法人等の発意とは,著作物の創作についての意思決定が,直接又は間接に法人等の判断に係らしめられていることであり,職務の範囲が明確で,その中での創作行為の対象も限定されている場合であれば,その範囲内の創作につき法人等の発意を広く認める余地があるとされた。
参照条文
著作権法15条2項
Key Word
プログラムの創作者,職務著作,留学中の著作物の権利帰属
武蔵事件
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H17.6.14 知財高裁 平成17年(ネ)10023
判決のポイント
映画と番組との間で有する類似点がアイデア段階の類似点である場合には,表現上の本質的特徴を番組又はその脚本から感得することができず翻案に当たらないとされた。
参照条文
著作権法21条1項 著作権法27条
Key Word
思想又は感情の創作的表現,表現上の本質的特徴を直接感得
シロスタゾール補償金請求事件
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H17.11.16 東京地裁 平成15年(ワ)29080
判決のポイント
2件の職務発明について相当の対価の支払いが請求されたが,1件は時効により,もう1件は用途の相違により,請求はそれぞれ棄却された。
参照条文
特許法35条
Key Word
職務発明,相当の対価,実績補償,時効,用途発明の効力
コーヒードリッパー事件
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H17.7.7 大阪高裁 平成17年(ネ)617
判決のポイント
被告の依頼に基づき新規な形態のコーヒードリッパーの金型を製作した原告が被告の要望に従い行った金型設計変更分の費用を実損として請求した金員の支払いが認められた。
参照条文
民法709条 民事訴訟法114条1項 民事訴訟法142条 民事訴訟法146条 特許法38条 意匠法15条1項
Key Word
二重起訴の禁止,契約締結上の過失
特許庁職員の過失による質権取得不能事件
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H18.1.24 最高裁第三小法廷 平成17年(受)541
判決のポイント
特許権を目的とする質権の取得が特許庁職員の過失によりすることができなかった場合,損害額の立証が困難であったとしても民事訴訟法248条により相当な損害額が認定されなければならないとされた。
参照条文
特許法98条 特許登録令3条 特許登録令37条1項 国家賠償法1条 民事訴訟法248条
Key Word
特許権,質権の設定登録,移転登録,受付の順序,特許庁職員の過失,損害額の立証